褥瘡治療は、常に創傷面の状態を観察し、適切な処置と治療薬を用いて良好な状態を保つことが大切です。
治療薬を使う際や、その使う方法、また褥瘡を発症しないための予防にも注意すべきポイントがあります。創の治癒に向けて対策を施し、適切に処置を行いましょう。
○褥瘡の確認ポイント1 骨との関係
身体の状態に衰えが表れる高齢者は特に、痩せや病的な骨の突出など体型に注意する必要があります。突出部分には皮膚に大きな圧迫が加わりやすくなりますし、関節も同様の突出が起こりやすいのが特徴です。
骨の突出部分を避けて、治りやすい部分に創を移動させるという対策をとると、治癒が早まります。
○褥瘡の確認ポイント2 創全体の形
発祥時にどのような骨の当たり方、こすれ方をしたかによって、褥瘡の形態が変わります。ズレ力があるかないかによって創形態が変わるということです。
横の力が加われば、楕円や長円形の創になり、横の外力が無い垂直の圧迫なら骨の形態が反映します。創の形をみて、起こりやすい箇所の褥瘡予防対策に役立つでしょう。
○褥瘡の確認ポイント3 皮膚のたるみ
皮膚は加齢とともに潤いが失われ、皮下脂肪が減り、たるみが生じます。そのため、特に高齢者の皮膚はたるんで移動しやすくなります。初期の創なら、真皮が残存し創を固定するので創傷は移動しますが変形はしません。ただし、皮下組織の損傷がおこっている褥瘡の場合は、その創傷が移動して変形します。
深部に達する褥瘡かどうか、一見するだけでは判断しづらいですが、このような特徴を知っておくと対策をとりやすくなります。
○ポイント4 褥瘡面の性状と治療対策
褥瘡はその表面にいろいろな症状が現れます。治療を行って新たな肉芽組織が育てば、治癒に向かっていると考えられますが、多量の滲出液や水分量の多い薬剤、また弱い外力によってうっ滞すると浮腫が起こります。外力が強ければ肉芽内出血がおこって壊死することもあります。
創面のこすれや圧迫などの外的要因だけではなく、細胞形成に必要なたんぱく源や滲出液中の血漿成分によっても、肉芽組織の状態や色に変化が起こります。水分量の把握と外力などの外力影響、栄養状態などの内的要因を観察しながら、ケアを行うことが大切です。
○ポイント5 創縁の性状を確認
圧迫・ずれ力の影響は創縁に性状に現れます。ふちが滑らかな場所は外力を受けて止めていない部分、段差がある箇所は外力を受け止めている部分です。
また、縁が創面に巻き込んでいるような場合は、湿潤環境が整っているかどうかの目安になります。上皮化が創内に入り段差が残ったままの状態は、乾燥気味である目安です。このまま閉鎖してしまうと褥瘡が再発しやすくなるので、巻き込み創を作らない(湿潤状態を適正にする)対策をとる必要があります。