在宅介護が長い患者は、治療中のケアに注視するあまりに、全身の状態を観察する機会が少なくなりがちです。家族が中心となって介護をしていると、介護者が呼び出すアラームやオムツを交換するタイミングなど、「呼ばれたら看る」サイクルが定着してしまいます。
容態が安定している患者や、加齢が原因で寝たきりになった高齢者は、特に就寝時の体圧によって褥瘡を引き起こしやすくなります。
気がついたときには深部にいたる重症化が進んでいることも。そんなときに、必要な対処方法を紹介します。
○まずはかかりつけ医に相談を
日ごろから体の状態を診察してもらっている、かかりつけ医にまずは相談をしましょう。そして、主治医が褥瘡の診察を行わない場合は、床ずれについて詳しい医師を探して紹介(依頼)をしてもらうのがベストです。
●医師に相談しづらいときは
定期的な病状診察を必要としない寝たきりの高齢者などは、医師に掛かるよりも地域の支援センターやケアマネージャーとかかわりが深いのではないでしょうか。
相談しやすい支援員に介護者がまずは話をして、必要に応じて主治医に紹介状を書いてもらえるようにしましょう。
●在宅診療が難しければ外来も視野に
日ごろは訪問看護を中心にしている寝たきりの要介護者も、在宅に来てくれる先生がいなければ外来診療を前向きに考えましょう。
壊死組織がある床ずれの場合は、感染症のリスクが高まるので、早期に外科的デブリードメントを行う必要があります。
○褥瘡の感染を疑う兆候と判定
黒色化した壊死組織がある場合は、早急に外科的処置が必要です。放置すれば壊死が進行するだけでなく、感染症を起こして局所から全身への危険も伴います。
●感染した褥瘡かを観察する
壊死組織の周囲を観察します。周辺皮膚に化膿の兆候がないかを見て、ひとつでも当てはまれば感染を疑う、二つ以上あったら感染の判断をして創傷部の局所療法を始めるべきでしょう。
●化膿の兆候4徴と褥瘡
感染した箇所には、「発赤・腫脹・熱感・疼痛」という4つの兆候が現れます。ただし、非常に深い部分で感染が進行している時(筋膜下感染や骨髄炎)は、化膿の兆候が現れないこともあります。ただし、身体機能が働いて多量の褐色滲出液が出たり、創傷面からは考えられないような痛みを訴えたり、微熱が続くこともあります。
痛みがないとき、また滲出液が褐色ではなく透明に近いとき、全身の状態が安定しているときは、感染症を引き起こしている可能性は低いと考えていいでしょう。
寝たきりですごす時間が長ければ、日々注意していても圧迫箇所から床ずれを起こしやすく、これは在宅に限らず入院患者も然りです。
もし褥瘡を発症し、壊死組織を確認したら、感染症を起こす前に早急に医師の診察を受けて処置をしてもらう環境を整えましょう。