褥瘡は、その傷の具合を常にみまもり、その時々に応じたケアを必要とします。擦り傷や切り傷のような外傷と違い、褥瘡は皮膚や筋肉組織の深部にまで至り、適切な処置が行われない場合には細胞が壊死してしまうおそろしい症状です。
そして、皮膚のバリアを失われた創部は、常に感染症のリスクをはらんでいます。局所の感染にとどまらず、細菌が全身に回ると敗血症性ショックなどの重篤な状態に陥ってしまう可能性もあります。正しく感染症予防を行って、重篤の危機を繰り返すことなく創傷の治癒を目指しましょう。
〇感染症を防ぐための心得
感染症は、日常生活を行う上で誰でもその感染リスクを負っています。必ずしも病気の人だけ、創傷箇所のみに起こる現象ではありません。感染細菌の種類によっては、空気・飛沫など、人とかかったり触れたりするだけで感染するものもあります。
とはいっても、過剰に感染を恐れて生活する必要はありません。消毒を行うときには使い捨て手袋とマスクを装着する・介護を行った後は手洗いと消毒をしっかり行う。これらの行動を継続するだけで、感染症リスクは大幅に下がります。まずは、介護する人が保菌者とならない、細菌を広めないという心構えを常に持っておくことが大切です。
●敗血症を起こさないために殺菌を繰り返す
特に褥瘡の処置や経過観察を行う上で必要なのは、創部を清潔に保つことです。そして、発症しやすい箇所の圧迫を軽減し、さらに創傷を深く進行させないことが重要になります。
褥瘡は、深部に及ぶと表面からでは確認できない部分(ポケット)に膿が溜まり、そこからさらに傷を進行させてしまうのがケアを行う難しさといえるでしょう。
●初期の褥瘡で注意すべき細菌感染
期の褥瘡症状として水疱があげられますが、この水疱がつぶれたときや、褥瘡の起こりやすい仙骨部分・臀部の排泄物から感染をするリスクが高まります。
高齢者患者の場合は、体の免疫機能が低下しているので、帯状疱疹やO-157、ノロウイルス・黄色ブドウ球菌などの感染リスクも高く、これが敗血症の感染巣となる場合があります。
●接触予防策で繰り返す敗血症や感染症に対処
感染巣となる細菌は、医療機器や処置担当者の手から広まる可能性を考え、介護者の予防対策とともに、医療機器を使いまわしせずその人専用ににすることも効果的です。
入院して経過を観察している患者なら、できるだけ他の患者に感染しないように隔離して容体を見守りながらケアするようにしましょう。