敗血症を起こすもととなる原因の感染症治療を早期に行うこと、そして支持療法も並行して行うことが、敗血症の症状を改善する条件となります。
敗血症の疑いがあると、まずはステロイド剤などを使用し、抗生剤投与をおこなう支持療法が先行してしまいますが、その元である感染症を治療しなければ治癒にいたりません。
○敗血症患者への抗生剤投与は慎重に
発熱や頻脈、血圧急落という、敗血症を疑うような症状を確認した時、まずは抗生剤を投与して症状を一時的に改善しようという処置を行うケースもあるようです。
敗血症の治療は、なにより感染源の特定と、早急に効果のある抗菌薬を投与することが大切です。原因となっている感染細菌を特定するのは、非常に難しいと考えられていますが、不適切な抗生剤をえらび、また抗菌薬の投与が遅れると、予後が悪化するということはよく知られています。
○処置・抗生剤の投薬 理想的なめやす
敗血症診療ガイドラインでは、抗菌薬の投与をするのは一時間以内が望ましいとしています。ただ、感染源を見定めるまでには必要な情報を集め、適した抗菌薬を選ばなければなりません。
敗血症は、感染症の診療を行うのと同じように、基本原則にそって抗生剤・抗菌役を選択します。敗血症のための抗菌薬選択レジメンが現状は無いからです。
○感染症の抗生剤・抗菌薬選択のステップ
適切な抗菌薬を選択するために、確認をするべきポイントがあります。多角的に症状を判断し、起こる感染症を想定して、抗菌薬や抗生剤を選択します。
●患者の身体状態と環境を知る
患者自身の既往歴や治療中の疾病を確認します。糖尿病や臓器疾患がある場合は、カテーテルを留置している患者もいるため、一部感染症リスクが高いといえるでしょう。これまでに、すでに抗生剤や抗菌薬を服用・投与しているために、感染細菌が耐性を備えている可能性も考える必要があります。
●身体検査で感染源を絞り込む
実際に、既往歴や治療継続中の基礎疾患があった場合、これまでの病歴と、カテーテル留置時期や投与済みの抗生剤に対する症状の反応有無など、包括的な情報が必要になります。これまでに検出した微生物や、培養検査への提出歴も確認をします。
看護記録に、患者の訴えや症状が記録されていることもあるので、職業や趣味、動物接触、渡航歴があるかどうかなども注意が必要でしょう。
健常に毎日を過ごしている人にも、感染症のリスクは充分あります。更に、基礎疾患のある患者は、感染症をおこしやすく、治療のために投薬を行っているため、感染源の特定は複雑になりがちです。患者の状態と既往歴、投薬の歴から感染源をどれだけ早く特定することができるかが重要なポイントです。