褥瘡が発症箇所のしびれに対する看護の重要性

入院や長期療養、長らく寝たきりの生活がつづいていて高齢者が、ケア療法を行っている期間も含めて常に気を付けておかねばならないのが、褥瘡の発症です。

同じ姿勢を取り続ける、僅かな動きや振動を繰り返す…ベッドの上や車いす、松葉づえや歩行介助用具を使用していると、どうしてもこのような動きを繰り返すシーンが多くなります。
傍目に見れば小さな擦れ傷と思われがちですが、ずれ力や圧迫で皮膚が赤くなり、同じ姿勢で更に時間を経過すると発斑や腫れに変化していきます。これが初期の褥瘡です。

 
○しびれに対する看護
褥瘡が起こるには、擦れや圧迫と言う外的要因と加えて、患者の身体状況や機能面が大きく関わります。
例えば、皮膚の乾燥が激しく、全身の筋肉量や皮下脂肪が減少し、少しの力が加わるだけで皮膚が損傷してしまう様な高齢者や、神経系の疾患によって感覚がない・鈍い箇所がある患者の場合、圧迫や擦れに気付きにくいという特徴があります。
神経系が正常に機能していない部位で、後遺症障害がある場合には、慢性的なしびれや違和感があり、圧迫による血流不足で起こるしびれとの違いを患者自身が判断できないというケースもあるでしょう。
常に「しびれ」を感じる高齢者は繰り返しその不具合を看護師にうったえるかもしれません。すると日常的に感じている患者のしびれと、圧迫からくる血流不足でおこるしびれが混同してしまう可能性があります。

 
○骨突出部の圧迫としびれ
肩や後頭部、仙骨や臀部など、体の凹凸が大きく更にその突出部分に皮下脂肪や筋肉が少ない箇所は、とくに褥瘡が起こりやすい箇所です。
仰向けで寝続けた時、健常な体の人でもお尻、肩から上腕筋そして肩甲骨にかけてマットレスが直接当たることで、痛みやしびれを感じやすくなります。
入院や寝たきりで病気の治療や処置を継続している患者は、臥床位で過ごす時間が長くなりますが、自分で寝返りを打つことすら難しい環境の中で、全身の痛みに対する意識が敏感になります。
それを解消しようとして看護師に訴える症状は「背中が痛い」「上半身がしびれる」等という漠然とした言葉で表わされる事もあります。
看護や介助を行う人は、これらの訴えを「病気や手術、ケガからおこるもの」と捉える可能性があるため、原因をきちんと見極めるための観察が非常に重要です。

 
○褥瘡を水際で回避する看護と観察
看護や介護を受ける立場になると、不具合に対処する負担に気を使ってしまい、体の痛みやしびれを訴えることを遠慮や我慢をしてしまう患者もいます。
褥瘡は、発見が早ければそれだけ早く完治を目指せます。看護を行う際は、都度全身の状態を目で確認し、自覚症状を聞きとりながら、体の不具合や違和感の原因を正しく知る事が非常に大切です。