褥瘡ケアに大切なのは「瘡」の状態を知ること

床ずれと一般的に言われる褥瘡は、何も入院が長引く患者や、寝たきりの人に限っておこるものではありません。
ちょっとしたずれ力によって体に傷ができるというのは、誰しも経験したことがあるでしょう。たとえば靴擦れなど、摩擦によって引き起こされる傷や、押し付けること(圧迫)によっておこる発赤やただれ。これらもいい変えれば褥瘡の一種です。

体におこる傷にはいろいろな種類があり、その中で褥瘡にはどんな特徴があるのか。また、早期に治癒を目指すために必要なことは何か。これらを継続的に注意しながらケアを行っていく必要があります。

 
○慢性的な創傷のケア
褥瘡は、一度発症すると完全に傷がきれいに治るまでに相当な時間がかかります。さらに、日常的にケアを継続していても、快方にむかうどころか、さらに傷が広がって状態が悪化するケースも珍しくありません。

 
●急性創傷とは異なる処置・ケア
褥瘡は慢性的創傷と言われます。急性創傷は、刺し傷や切り傷のような皮膚が傷ついた状態や、手術などで起こる鋭利な損傷を指すことがおおいです。
急性創傷は出血があり、熱を帯びた感覚が伴いますが、切られた患部は正常に血流があり、もとに戻ろうとする治癒力が体内で働くため、外用薬や傷口の洗浄、消毒を行っていれば比較的短期で治癒を目指すことができます。
しかし、慢性的な創傷の場合、体内の治癒力が劣っている場合が多く、特に血流不足や圧迫によって、治癒に必要な栄養分が十分に傷周辺に行き届かない、糖尿病等の慢性疾患によって治癒力弊害がある、というケースも考えられます。
同じ傷の治療という考えを前提にしてケアを続けていると、効果的な方法を見逃してしまいかねません。特に、在宅での介護をになっている人は、介護を擁する人に対して、傷の起こり方やケアの方法をきちんと理解しておく必要があります。

 
○浅い創・深い創のケア
皮膚が炎症または創傷によって傷ついた場合、その傷の深さを知り、どのようにして傷が治っていくかを理解しておくと、傷の具合に応じたケアを行いやすくなります。

 
●褥瘡と皮膚細胞
褥瘡は、小さな傷だと思っていてもその深さが真皮に達しているという場合もあります。表皮細胞までの傷であれば、真皮に残っている表皮細胞をもとにして、創部分を覆いながら傷を閉鎖して傷を早く治すことができます。
褥瘡が進行して真皮細胞が残らない深い創となった場合、出血によって凝血した塊によって傷をふさぐ・炎症性の細胞が細菌などを攻撃する・線維芽細胞などをもとにして肉芽細胞が新たに生成される…という風にして創の治癒を進めようとします。この治癒までの流れを助けるようなケアを随時心がけて実行することが大切です。

褥瘡は単純な皮膚の炎症・創傷ではなく、真皮細胞にまで達して皮膚の生成力が劣っている状態の場合が多くなります。皮膚は体を守るバリア機能も担っているので、バリアを失った体は細菌感染など外的な影響も受けやすく、治癒に時間がかかるのです。
皮膚と欠損した細胞を育てて、感染を防ぐために清潔な状態を維持することが、ケアを行う上で非常に大切になります。