褥瘡は、その進行具合や創部分の大きさ、深さは一見するだけで判断する事は非常に難しく、個別に随時経過と治療の効果を観察しながら、その時々に合わせて適切にケアを進めていく必要があります。
定期的な処置を行っていても、創部の治りが悪い、また外用薬やドレッシング材の選択が傷の状態と合っていなければ、褥瘡の進行につながってしまいます。
もし、壊死した細胞が創部に発見された場合には、デブリードマンを施行するタイミングを計り、創部の肉芽を健全な状態で育てていくことが大切です。
○壊死細胞とデブリードマン
褥瘡が元となって、創部に壊死細胞が発生すると、その細胞は再起する事はありません。褥瘡の場合は血流障害によって脂肪繊や筋肉が損傷を受けて壊死細胞化することが多く、表層部分を黒く変色させ固塊していきます。
損傷し壊死した細胞は肉眼で確認しやすいですが、褥瘡は表面的にみた傷が小さくても深部で損傷が起こっていることもあります。
壊死細胞を除去する方法とタイミングを計り、健全な肉芽細胞を育てることで、より早く褥瘡を治癒に向かわせることができるのです。
壊死細胞を除去することをデブリードマンと呼びます。壊死部を除去し、創部を清潔に保ちながら肉芽を育てるために最も重要な処置です。
○デブリードマンの方法と種類
一般的に、デブリードマンは外科的処置として、メスやハサミを用いて創を切開し、壊死細胞を切除または電気焼却をする「外科的デブリードマン」のイメージを強く抱く患者や医療従事者が多いでしょう。
現在では、さまざまな外用薬を用いて治療をおこなう方法も取り入れられています。外科的な処置が時期尚早と判断された場合、閉鎖的ドレッシング材を用いて自己融解作用を促す「自己融解デブリードマン」や、wet-to-dryドレッシング法・高圧洗浄・水治療法などを取り入れる「機会的デブリードマン
などがあります。
たん白分解酵素を用いる「化学的デブリードマン」もあります。最近では医療用マゴット(蛆虫やハエの幼虫)を使用する「生物学的デブリードマン」という方法もあります。
○デブリードマンは深度と進行に合わせて
肝臓や神経系持病、血行障害、合併症を引き起こす可能性がある疾病を患った患者は、外科的な方法を用いることが難しいこともあります。
壊死細胞除去にはデブリードマンが有効と言われますが、そのタイミングは全身状態により、また感染や炎症が認められる場合には、切開して排膿ドレナージを行う外科的な方法のほうが治りも早くなると言われています。
○まとめ
褥瘡は見た目だけで判断するのは非常に難しいため、外科的なデブリードマンを行ったあとも、科学的処置を行いながら抗菌薬を併用し、創底の管理を徹底して継続することが必要です。