褥創患者の管理と設備 看護計画とリスク回避

看護の現場は、入院患者の管理や術後・処置後の経過観察、食事や薬の管理にまで多岐に及びます。特に長期入院をしている患者の褥瘡発症は、入院の原因となった病気や疾病にプラスアルファのケアや処置が必要になるため、未然に防げる観察体勢が、看護計画の中でも重要になってきます。

○体圧分散マットレス導入とリスクアセスメント
寝たままの姿勢を余儀なくされる入院患者は、その年齢や性別を問わず褥創を引き起こすリスクを負っています。褥創発生を防ぐためには、体圧分散型マットレスを使用することが有効とされています。

○褥創と体圧分散マットレスの有効活用
臨床の現場では、ベッドのマットレスにさまざまなタイプのものを使用しています。大きく標準マットレスと言われるものと、圧分散機能が備わった体圧分散マットレスの2タイプが用いられます。
体圧分散マットレスが有効に機能するのは、継続的に鎮痛剤を投与している人や、ショック状態、昏睡状態にある患者で体位変換を自力で行う事ができない場合です。看護計画で褥創レベルとケア方法の指標となっている「OHスケール」で見ると、急性の臥床状態患者は、圧切り替え型エアマットレスを使用するとされています。
また、慢性的な臥床状態の人(下半身浮腫がひどくて、体位変換の時に介助を要す・痛みと呼吸困難を感じるために楽な体位を撮り続ける)や、時々体幹や四肢を動かす人は、自力で体位を変えるシーンが限られます。OHスケールでみると、やはり交換フォーム型の体圧分散を用いることとなっています。
褥創の発生レベルと症状に合わせてOHスケールで点数化し、看護計画の中に落とし込んで処置や対処をするという方法が、最も発症回避に近いでしょう。

○褥創患者に合わせたケアと看護計画を
体圧分散マットレスと看護計画によって、褥創は発生率を下げる効果が期待できます。しかし、マットレスは施設によっては保有台数が限られており、また素材やタイプ、種類がことなる製品を共通して使用することへの注意も重要です。
マットレスを使用すると、一か所に体圧が集中するのを防ぐ効果は期待できます。しかし同時に、体が沈み込むことで腰痛を引き起こしたり、ふわふわとした使用感のために寝返りがうちづらく感じたりすることがあります。
これは、常に看護計画を元に患者を観察している看護師や介助人でないと、寝心地の悪さをくみ取って上げられない可能性があります。

褥創の発生リスクを抑え、なおかつ快適に寝た姿勢を保持できるようにするには、OHスケールに沿った看護計画の立案と実際に行う毎日の観察業務が非常に重要です。