体の中でも仙骨や肩・肘・踵やお尻など突出している部分は褥瘡を起こしやすくなります。これは直接的な理由として、一点に係る圧力が大きくなり血流阻害がおこることが原因です。
全身の血流が良い状態で、圧迫が無ければ、原理的には褥瘡を引き起こしません。しかし、褥瘡を発生させる「外力」へのリスクは、一時の圧力だけではなく、圧力の加わる時間や体位変換のケア・患者自身が体位変換できるか否か。このような条件に大きく関わります。
○マットレスを用いた褥瘡回避
病院のベッドでは、好発部位の褥瘡発生リスクが高まります。力が直接的に掛かり、分散しないためです。
そこで、褥瘡が起こる可能性がある人は、体圧分散マットレスを選択して適切かどうかの判断を行います。
- 体圧分散マットレスの適切度チェック
褥瘡をおこさないためにマットレスを用いますが、硬さや厚みによっては、体が沈み過ぎたり、背骨がまっすぐ安定して眠れなくなったり、腰が沈み込みやすくなる状況となり、さらに褥瘡リスクが起こる・・・など、不安要素が多くなります。
そこで、
・使用中のまたは変更した体圧分散マットレスを、好発部位での体圧測定を行う
・患者の褥瘡好発部位で皮膚に褥瘡がみられないかをチェック
この二点に加えて、一般的な仙骨部分のような突出した場所のみだけではなく、その患者が楽に感じる体位や、寝づらさを訴える方向等も、褥瘡発症の目視確認のために行うことをお勧めします。
- 体圧分散マットレスを導入するタイミング
使用する体圧分散マットレスに依って、その患者さんの体表面に係る体圧の数位は異なります。体圧を測定すると、個々それぞれの褥瘡リスクをある程度理解することができるようになるでしょう。
体圧測定のタイミングは、皮膚の発赤を発見した・褥瘡部が悪化した・ポジショニング変更・マットレスの変更となります。
体圧計測値が例えば危険域を表示した場合には、患者のリスクアセスメント、そして全身状態を見ながら体圧分散マットレスの変更を決めます。
○体圧測定器が無い場合
手元に体圧測定器が無く、体圧値を数値で確認することができない場合、基本的なケアと言われる「個々の骨突出程度」「得手体位」「皮膚の状態」を知り、好発部位の皮膚観察を行うこととします。
また、関節拘縮がある人や皮膚がもろく弱い疾患を患っているいる状況では、実際の体位変換は難しいため、皮膚圧迫が解除された時に、必ずその部分の皮膚状態は確認するようにしましょう。