床ずれは、毎日の介護や介助で気を付けていてもなかなか完全予防が難しいでしょう。寝たきりの状態が長い人にとっては、この「床ずれ」と圧迫の傷みが常に付きまといます。寝たままの姿勢を楽にしながら、長時間同じ体勢を取り続けないように気を配ることこそ、床ずれを起こさない基本的なケアの方法です。しかし、数時間後に介助や体位変換を行っていても、赤みを帯びた床ずれ(褥瘡)の初期症状が現れたら、褥瘡ケアの方法を取り、治癒するために計画的な観察をしたほうがよいでしょう。
○床ずれを予防するための市販薬
床ずれは、長時間体圧を掛け続けることで一か所に加重が集中し、その部分が赤くなったり水疱や紫斑点の皮膚変化が起こった状態を確認したら要注意です。この段階の症状を見逃すと、数時間後の体位変換の時には、水疱がわれたり、ずれ力によって赤みがひどくなり褥瘡初期段階になったりすることは珍しいことではありません。
●ハリと乾燥を予防する市販薬
寝たきりの状態を強いられる入院患者や、体が不自由なために座位や寝た姿勢が長くなる高齢者は、食事の量も減りがちで、栄養状態が偏ってしまいます。そのため、皮膚に充分な栄養がいきわたらず乾燥したり、潤いが無くなってしまったりしやすくなります。肌にうるおいが無くなり、乾燥した状態が続くと、外的な刺激を受けて少しの傷が炎症化しやすくなります。ちょっとした体位変換のずれ力や摩擦すら、床ずれの原因となってしまうのです。そのため、肌の潤いを保ちながら、外的な刺激を受けさせないようにクリームを塗付し肌を保護してあげましょう。
●床ずれに用いる市販薬例
市販の保湿クリームを用いて肌を保護してあげるだけで、摩擦や刺激から肌を守ることができます。医療用としても用いられている白色ワセリンはその代表とも言えます。ワセリンは油性成分クリームなので、入浴後や肌洗浄を行った後に、その水分を皮膚にとどめて蒸発を防ぐ役割があります。
●尿素配合の市販薬クリーム
尿素は肌の潤いを保つために効果があります。冬の乾燥した季節に尿素配合のクリームを手足に塗る人もいるでしょう。同様に、ウレパールやケラチナミンなどの尿素軟膏を用いるとよいでしょう。
●肌に栄養を与えるビタミン含有軟膏
保湿と合わせて、不足した栄養を補いながら健康なスキンコンディションを保つビタミン含有軟膏やへパリン類似軟膏を用いましょう。皮膚状態を健康に保つことで、床ずれを起こしにくい肌を維持することが可能です。しかし、塗付したクリームや市販薬軟膏は、入浴や洗浄の度にきれいに洗い流し、繰り返し使用して清潔な肌状態を保つことが大切です。