外傷または疾病治療のため、長期入院が必要になった時、病院・診療所では入院中のケアを記した看護計画を立てます。手術後の患部のケアだけではなく、個体それぞれに起こりえる要因と、環境要因についてそれぞれ褥瘡の発生リスクを考えなければなりません。
○個体危険要因のチェック
起こりえる危険度や警戒するべき要因に合わせた看護計画の立案が大切です。
●危険要因から分類
危険要因がないと考えられる偶発性褥瘡は、発生リスクレベルは非常に低くなります。ただ、事故や手術、意識消失など、突発的に褥瘡が発生する可能性については意識しておかねばなりません。危険要因がある起因性褥瘡の場合は、その危険レベルに応じたケアが必要になります。軽度であれば、一般的な看護対策に加えて、圧迫やずれを排除するように努力し、体位変換を計画に加えます。中等度レベル・高度レベルの危険度が想定される時は、全ての点で最高かつ細心の看護を提供する準備と計画が必要です。治癒までの時間が長引くため予後が悪いこと、そして各要因の看護が必要となるので、臨機応変に対応することが重要です。寝たきりの姿勢が長くなると、関節が拘縮しやすくなり、褥瘡リスクが高まります。関節拘縮が進行しないように予防リハビリも行います。体位変換は完全側臥位にして、補助用具の活用も検討しましょう。
●具体的な危険要因
褥瘡を引き起こしやすい危険要因には、自力体位変換の可否・病的骨突出・関節拘縮・浮腫 の4パターンに大きく分けられます。それぞれに体位変換の時間目安と、頭側アップダウン時の圧とずれ力、体圧分散式マットレスの選択を考えねばなりません。体位変換の際は、必ず創部の圧をチェックして補助用具が創部に当たらないように注意します。創部処置の時も、出血や壊死、炎症など必ず圧迫による症状がないかを確認するようにします。
○車いすの看護計画も危険要因を元にケア計画を
寝たきりの姿勢が長い事で、褥瘡は起こりやすくなりますが、臀部や腰部、関節の骨突出が長く続く状況は、座位の時間が長くなる車いすの場合も同様です。
●自力体位変換と骨突出度に応じた看護計画
マヒにともなって車いすを導入する主な理由は、下半身の麻痺が顕著でありながら自立した生活を目指すところにあります。離床を高める意識と体力作りのためのリハビリを行う事で、自力体位変換が可能になるように補助し、体位変換ができる患者には圧を分散しながら本人のうごきやすさを優先します。しかし、浮腫が激しい場合は褥瘡を起こしやすく、車いすの座位姿勢が長くなると更に発症を助長して仕舞いますので、乗車禁止にし、乗車が必要な時は弾力包帯を用いて圧迫を防ぐ、また利尿・強心剤の投与も慎重に検討すべきでしょう。