床ずれとは、ずっと寝ていたり同じ姿勢のまま横たわっているとき、体の重みが原因で一か所に負荷がかかり、押し付けられた部位にできものができることを言います。医学的には「褥瘡」という言葉を使いますが、褥の字の意味は「ふとん」で、瘡の字は「できもの」を表しています。長い時間、マットや布団、車いすなどの体と接触するものがある場合、その部分の皮膚に圧迫が加わると血流が悪くなって、皮膚や周辺筋肉に酸素や栄養分がゆき届かなくなってしまいます。そのため、皮膚や皮下組織が壊死してしまった状態になってしまうのです。直接的な原因としては、自分で寝返りを打てないため、骨が飛び出ている場所に負荷がかかり、圧迫が続くという場合が多いですが、そのほかにも原因があります。全身の感覚が低下してしまい、痛さを感じなくなる・手足の関節が固く体勢を変えられない・むくみがある・食事がとれないため栄養状態がわるい・やせてしまっている・・・これらの条件が組み合わさって褥瘡が起こります。床ずれが起こると、体を動かすことそのものがストレスになり、さらなる行動制限を起こすもとにもなりかねません。まず、つらくない環境を作ること。そして、快適な寝心地や座り心地を長くキープできる環境づくりが常に必要になるということを意味します。入院中は、完全看護の環境を整えている病院であればすべて看護師や介助人に任せておけばおおむね心配はありませんが、在宅で過ごす寝たきりの家族のお世話をするときも、できるだけ環境を整えて、向きを変えたり体勢を変更したり、という介護人の負荷をできるだけ軽くすることが大切です。入院患者のうち、入金期間中に床ずれができる人の割合として公表されたデータに、2002年は4.1パーセントという結果があります。20人に一人ほどは何らかの床ずれを実感していた計算になりますが、最近では2~3パーセントにまで減少してきています。数値としては微量の減少に見えますが、統計的に入院患者の人数が圧倒数いることを想定すれば、大幅な減少といえるでしょう。これは、それぞれの病院で、患者の状態に合わせて適切なマットレスを導入したり、体勢を変えるために病院それぞれが、措置を講じて、患者がより快適に過ごせる工夫をしている結果と考えられます。また、効果的な栄養管理を行って、褥瘡ができにくい体づくりを施しているとも考えられます。寝たきりの姿勢は、自立して生活する人が想像する以上に過酷であり不自由です。患者や在宅看護を必要とする人の負担をなるべく軽減するように、体位や座位の調整回数を増やし、やさしく行うようにしましょう。
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