血行促進には有酸素運動を効率よく取り入れて

突起箇所の圧迫によって引き起こされる褥瘡は、その患部に必要な血流が阻害されることで更に症状が悪化します。皮膚に充分な栄養と酸素を届けて、皮膚に潤いがあり健康な状態であれば、多少の摩擦や圧迫で皮膚が損傷することもなく、褥瘡を発症するまでの時間を遅らせることに繋がります。皮膚の健康維持は、血行促進により充分に高まります。そして血行を促進するためには血管をしなやかで健康的にすることが大切です。

○血管の健康で血行促進

血管は主に内膜、中膜、外膜の3つ層で構成しています。そして内腔と呼ばれるトンネル部分に血液が流れます。内膜の表面は血液が直接触れる場所で、内皮細胞という組織が隙間なく並んでいます。血管と全身の血行促進、そして健康を考える時に最も重要なのはこの内皮細胞がポイントとなります。

●内皮細胞の役割

常に血液と触れ合う内皮細胞は、心臓から全身に向けて送りだされた血液の圧力や血流、そして血液状態に合わせて一酸化炭素を放出し、血液や血管機能をコントロールさせます。また、血管内に炎症が起こった時も内皮細胞がそれを治す働きをします。内皮細胞が健康であれば血管の健康が保たれ、スムーズに血行を促進することができるのです。逆にストレスや栄養の偏り、運動不足が続くと内皮細胞が傷つき動脈硬化が進んで悪化していきます。

○強い血管を作るには運動が一番

運動をすれば脈拍が上がり、血流量が増加します。血行促進には運動が効果的と思われますが、激しい運動を続けて行わなくても、日常生活でできる、効果的で上手な有酸素運動導入を実践しましょう。

●有酸素運動とは

有酸素運動は、体中の酸素を上手く使って、不要な体脂肪を燃焼させながらエネルギー源を得ます。体の筋肉に大きな負荷がかかる激しい短距離走やハードな筋トレは、筋肉に酸素がいかない無酸素運動です。筋肉の中にあるグリコーゲンとよばれる成分を基にして、瞬発力を発揮するため運動エネルギーの生成に酸素が使えないのが、有酸素運動と大きく異なる点です。

●ふくらはぎから血流をポンプアップ

足の特にふくらはぎを刺激すると、足の筋肉は心臓より下にあり重力に逆らって血液をポンプのように押し返すため、結果として全身の血行が良くなります。ウォーキングが有酸素運動の中で最も優れた全身運動と言えますが、寝たきりの人は、手と足の指をグーパーするだけでも刺激となり、それまでの容態と変わってきます。血行促進のために、寝た姿勢や車いすに座った姿勢のまま、簡単な有酸素運動を取り入れると血流は改善されますが、摩擦やこすれが起こりやすくなります。

ケアは十分慎重に行いながら、ストレス発散にも一役買う有酸素運動を上手に取り入れてみてはいかがでしょうか。