褥瘡の治療を行うときに、もっとも注意する点は局所の圧迫。そして圧迫に伴う血流不足から引き起こす血行不良に注意が行きがちです。
しかし、体位変換をしたり除圧を繰り返したりしても、褥瘡を発症するリスクを完全に取り除けるわけではありません。局部に掛かる圧力を軽減しながら、その体の中でどれほどの栄養分が機能して、皮膚の状態や血行促進につながっているか。
このような基礎的身体機能を高めるための取り組みも、併せて行う必要があります。
○栄養管理と褥瘡予防・治療
体が何かしらの病気を発症して、突如寝たきりの生活が始まったという場合、寝たきりですごすことで起こる褥瘡は二次的観察となりがちです。持病や発症した疾患の治療を優先させるために、経腸栄養に切り替えること事態は短絡的な判断でしょう。
●栄養管理の手順とステップ
発症した疾患によっては、その症状が重く、ものが食べられなくなってしまうほどに辛いという時期もあるでしょう。
疾患が快方に向かい始めるタイミングで、栄養アセスメントを行っていきましょう。体重の減少率や食事の経口摂取状況に変わりがあった患者さんを中心にピックアップしていきます。
それぞれの患者の身体計測と、結成アルブミン値などを目安にして栄養評価を行っていきます。そして、評価を基にしてそれぞれの患者に応じた栄養管理看護計画を立案し、目標を設定します。
適正な栄養療法を行いながら、定期的にモニタリングしてその効果と看護計画から総合的に判断し、次の目標を決めていきます。
●褥瘡ができやすい栄養状態とは
栄養指標として、血清アルブミン量とヘモグロビン、総コレステロールが用いられます。それぞれの基準はあくまでも目安として、栄養管理計画の立案をした当初から、それぞれの数値がどのように変化したかが大切なデータとなります。
●食べられない原因を考えて経口摂取につなげる
疾患の治療や手術を行うために、経口摂取を控えることもありますが、口から食べるという行為そのものに大きな意味があります。
口からものが食べられなくなった理由は、食べない理由とは違います。感染症などを起こして体の状態が悪化することで食べられなくなることありますが、食べ方・食べさせ方・食べる意欲がわかない、という風に、経口摂取したものが体内で受け付けないという理由ではない事情もあります。
口から充分な栄養を摂取し、消化吸収して血管を通じて全身に送られ、全身へ必要な栄養素を届けられるようになるためにも、普段の食べ方や嗜好品、食べられなくなった時期を聞き取ってみましょう。
なれない入院で充分な睡眠をとれていないなど、ちょっとしたことが改善されれば、また経口摂取することができるようになるかもしれません。