敗血症という症状は、体の一部が細菌感染することがきっかけで起こります。その感染源となる細菌は決して特別なものではなく、日常生活の中で普段から誰でも感染リスクがあるようなものがほとんどです。
感染症を悪化させてしまうと、その細菌が血流に乗って全身に蔓延します。
身体に感染する細菌すべてにおいて悪化させれば敗血症につながるリスクがあると考えておかねばなりません。
○敗血症の代表的感染症は
ほんのわずかなきっかけをもとに、感染した細菌が全身に広がり敗血症を起こすことがあります。そして、感染巣として最も多いのは呼吸器で、続いて腹部、血液、腎臓・尿路、皮膚、カテーテル関連という結果が発表されいてます。(大規模ホコート研究:日本版解決症診療ガイドラインより)
また、原因菌は、黄色ブドウ球菌、大腸菌、肺炎球菌、緑膿菌などがあります。
なかでも、敗血症性ショックは、大腸菌、黄色ブドウ球菌の割合が多いのが特徴ですが、原因となる菌や感染症が起こりやすい地域、気候によっても異なるため、特に、肺や消化器系、血液に感染する細菌巣には、その治療と経過を注視しなければならないでしょう。
○敗血症の重度レベルはどう判断するか
敗血症の定義は、「感染によって発症した全身性炎症反応症候群」ですが、体温・心拍数・呼吸数・末梢血白血球数の規定値のうち、2つ以上が確認された場合に、敗血症と診断することとしています。
さらに、重症敗血症(臓器障害や臓器灌流低下、または低血圧の状態)と、敗血症性ショック(十分に輸血負荷を行っても低血圧が持続する状態)という重症度分類があります。敗血症を決定づけるようなバイオマーカーは現在のところ発見されていないため、血液検査による血液培養による細菌巣特定と、効果薬の投与が治療の中心となります。
○敗血症初期蘇生の速さと後遺症化
敗血症は、局所の感染細菌が全身に蔓延した状態なので、初期の段階で速やかに治療を開始しなければ、治療に要する時間も伴って長期化する傾向があります。効果的な治療が行われるまでの時間が長ければ、特に発症確率が高い呼吸器(肺)、腎臓・肝臓の後遺症につながります。
重篤な状態(敗血症性ショックや重症敗血症)では、菌血症を合併している可能性が高く、髄膜炎を疑う場合には頭蓋内圧亢進状態を確認し、髄液を検査することもあります。
治療が長期にわたれば、患者自身のメンタル面にも大きな負荷がかかります。敗血症治療には、効果のある治療薬と感染巣を早く特定することが、何より重要な課題となります。