体の神経系統に問題があり、マヒが残っている人や、体力の低下にともなって寝たきりの状態が長くなると、全身に血液が行き届きにくくなり低体温に陥りがちです。
そのため、筋肉量が低下し、皮膚が少しの擦れや刺激で傷つきやすくなり、褥瘡を引き起こしやすくなります。少しでも筋肉量を保ち、関節や筋の硬直を防ぐために、自立生活ができるうちから無理のない運動を取り入れることが大切です。
○運動はゆっくりと まずは寝た姿勢で
寝たきりの状態が長ければ長いほど、自律神経に障害が起こっている可能性が高くなります。特に、起立性低血圧には注意が必要です。
●自律神経系に問題が無いか確認を
立った姿勢で長く過ごすと、頭に充分な血液がめぐるように自律神経を以って血輸量が調整されます。脳の血管にきちんと血液がめぐるようにしておくことで、自立した生活が滞りなく行われるようにバランスを取っているのです。
しかし、寝た姿勢が長い場合、横たえた体の状態で必要な各部位の血輸量を心臓が送りだしながら過ごす時間が長くなるため、急に体を起こすと、頭に充分な血液を送ることができず、貧血状態になります。意識の有無にも関わるため安全に立位や座位を保てない事もあります。
まずは体を寝かせた姿勢のまま、介助を行う流れで膝関節や股関節を動かしましょう。関節が柔らかくなると、節のリンパの流れが活発になります。手首や足首も意識的に動かすようにしましょう。
●寝たままの運動で注意すること
特に高齢者は、皮膚の潤いが無く乾燥している人が多いので、やさしく触っているつもりでも皮膚の擦れを引き起こす事があります。皮膚の摩擦による創傷には注意しましょう。
また、食後すぐの時間は避けて、いきなり過度な力をかけずに無理のない範囲で継続的に行うようにします。毎日少しずつ関節の伸縮運動を行うと、次第になめらかに関節が曲げられるようになります。
○寝たきりから座位に移行して運動を
ベッドに座ることができるようになれば、上半身の姿勢を自分で保つことができるようにしましょう。ただ座っているだけと思われるかもしれません。しかし、寝たきりが長い人は、体を支える筋肉が衰えています。お腹に力を入れて座位を保つ事でも充分に筋肉に刺激を与える運動になります。
●姿勢を保持して肩を上げ下げ
座ったままの姿勢で短時間でも過ごせるようになったら、一番に両手を上に上げる運動リハビリを行います。筋肉量が減少し、骨の密度も低くなっている寝たきり患者は、少しの刺激で骨を折ってしまう可能性も考えられます。
体の状態を細かに確認したうえで、座位のまま両腕を上下させる運動をしてみましょう。ゆっくりで構いません。肩の周辺筋肉や腕の付け根を刺激するために、肩の上げ下げを取り入れると良いでしょう。