血流が悪い下肢の褥瘡を改善するための処置方法

褥瘡を引き起こしやすい体の部位で、最も知られているのは臀部や仙骨部分といった、「骨への加圧が集中的にかかり常に圧迫されやすい箇所」でしょう。肩甲骨や後頭部も同様に、圧迫と局所的な体圧によって褥瘡を引き起こしやすいと言われます。

創傷が大きく、また除圧するケアが大変な所ほど処置や経過観察も注意深くなりますが、実は下肢が非常に褥瘡を起こしやすい場所だという事をご存知ですか。

その理由と、下肢褥瘡のケア方法をご紹介します。

○血流が悪くなる下半身の褥瘡リスク
そもそも、床ずれが引き起こされる原因として「皮膚血流の悪化」と「圧迫」がありますが、臀部や仙骨部分に次いで、体の部位のなかで褥瘡になりやすいのが踵部分と言われています。寝た姿勢で、踵がどのような位置にあるかを想像してみてください。後頭部などと同じく、常にベッドやマットと設置して下半身を支えるような姿勢になります。

寝がえりを打つことができれば、圧迫と痛みも解消できるでしょうが、マヒや寝たきりの状態が長い患者は、筋肉が落ちて下半身に力が入りづらくなります。そのため、足の姿勢を少し変えるにしても介助の手を必要とする患者は多いのです。

また、心臓に血液が戻るための、ポンプの役割をするふくらはぎの筋肉を動かせない状態が続くと、下半身にむくみが生じます。浮腫は更に血流を悪くしてしまうため、必要な栄養分を皮膚に届けることができず、また圧迫が続くことで褥瘡になりやすい条件がそろってしまう箇所でもあるのです。

○血流を改善して処置を行う
下半身の血流状態を評価することはとても大切です。下肢が、皮膚の汚れや湿潤影響を受けにくい箇所であるにも関わらず、褥瘡を発症しやすい大きな理由が血流悪化です。どの程度下肢の血流が阻害されているのかをきちんと把握することで、適切な処置の方法が見えてきます。

●血流評価項目
・皮膚の色調評価 ・足背動脈、後ろ脛骨動脈の触知 ・足関節の血圧測定 ・触診に依る冷感の有無 
これらの検査や視触診を行い、総合的に判断をして下肢の血流状態を確認します。

●圧力分散と血流の悪さを解消 踵の拳上は必須
踵の拳上を行って、直接マットやベッドに踵を付けないという事を一番に実践しましょう。ただ、膝下にクッションを入れて膝下が必要以上に上がると血行を悪くしてしまいますので、軽く膝を曲げ、下腿部全体を支えるポジショニングピローでやさしくカバーし、踵は床から指一本程度上げるようにします。

また、寝たきりの姿勢で血流を改善することができればもっとも理想的です。しかし、運動機能で血流を良くすることは期待できないので、体位変換を行う場合に、マッサージや温めという方法で血行を良くする工夫が必要でしょう。