発疹?もしかしたら床ずれかも 水ぶくれを見つけたら

日本の医療が進むにつれて、入院期間が短縮し、通院や在宅治療が長くなる傾向が強まっています。
これまでは頭部の挫傷や、ガンなどの内臓疾患を治療するとなると、数ヶ月または数年単位の入院を余儀なくされることもありました。しかし、近年は手術の予後を見ながら、日常生活に近い形で毎日を過ごし、通院で経過を見る流れにシフトしてきています。
在宅で安静にする時間が長くなると、周囲の家族が身体的制約のある患者をケアしていくことになります。在宅ケアや介護をするにあたり、最も気をつけておかねばならないのが床ずれの予防です。


○安静にしていれば大丈夫…ではない床ずれケア
術後や経過観察を要する在宅治療中の患者は、日常生活の全てを自分で行えるほど身体機能が回復していれば、大きな問題も起こりづらいでしょう。
しかし、安静を要するような状態の場合、患者の多くは「同じ姿勢(寝たきり)」または「体の一部を動かすことが出来ない」環境の中にいます。
このような時間をすごすときには、治療を要する基礎疾患や外傷と同じように、床ずれの発症を起こさないように注意しなければなりません。

 
○床ずれが起こりにくい環境を整える
在宅介護を行う際には、ケガの部分だけを観察して状態を確認するのではなく、必ず定期的に全身状態を確認する様にしましょう。
痛みや痺れ、かゆみはないか。あればその場所はどこか、など患者に確認をしながら不具合を感じている部位を目で見て確認します。
同じ姿勢を取り続け、布団の中で(防水シーツなどを用いて)すごす時間が長くなると湿気がこもりやすくなります。汗を吸い取らない素材の寝具や車椅子を使っていると皮膚がふやけ、こすれて床ずれをおこしやすくので通気性・吸湿性のあるシーツやパジャマを使用しましょう。

 
○水ぶくれは床ずれの初期サイン 自己判断をしないこと
お風呂にゆっくり浸かって体を清潔にすることができない状態が続く場合にも注意が必要です。清潔な状態を常に保てず、汗や古い皮膚が表面に付着する時間が長くなると発疹や水ぶくれができることもあります。
ただし、水ぶくれや発赤、斑点を発見したら、単なる皮膚発疹と自己判断せず、かかりつけ医に相談しましょう。水ぶくれを見て、吸水性の高い外用薬を用いた場合、床ずれ部の皮膚形成に必要な滲出液を取りすぎて乾燥させてしまい、症状が悪化することもあります。
まずは皮膚を清潔にして保湿クリームなどで皮膚の乾燥を防ぎましょう。刷り込まず、やさしく上から押さえるようにして、皮膚に力が加わらないよう注意します。
一見するとただの水ぶくれ(一時的な皮膚炎症)と思われがちな床ずれ。
処置や予防に必要なのは患部の薬塗布ではなく、除圧とズレ力を長時間加えないことを最優先にして、床ずれが起こりにくい環境に注意を払うことです。