NTSという言葉を聞いたことがありますか。NTSとはnutrition support teamの略称で、栄養サポートをチームで行うというものです。
床ずれの治療や予防には、身近な人のサポートが必要になります。中でも、体に創傷を起こさないためのポジショニングや体位変換、リハビリなどに注目が集まりがちですが、体の栄養と機能をしっかり管理して、体の中から床ずれを治すケアにも力を注がなければ、本来の健康を取り戻すことは難しいでしょう。
〇床ずれを治すために必要な管理ポイントは
毎日の処置やケアを行っている人は、実際にその創傷部分を見て、創の状態から必要な措置を考えます。除圧しながらとるべき体位や、理想的なポジショニングに必要な福祉用具の導入など、傷の深さや体の機能に注目してケアプランを立案し、実行しながら治癒を目指します。
ただ、体位変換を継続していても、栄養状態を改善し、必要な投薬や外用薬を処方して傷口の処置を続けることができなければ、床ずれはよくなりません。
床ずれを治すための処置と経過観察、臨機応変に対処しながら改善していく経過観察と合わせて、栄養の摂取や介護を行う人へのサポート機能が、管理するうえでとても重要になります。
〇床ずれ治療とNTSカンファレンスの強化
NTSは、栄養士や言語聴覚士など、食事や栄養の摂取に直接かかわる人はもちろんですが、臨床検査技師や薬剤師といった、専門的な知識を持っている職種にも大きくかかわります。
これらの職種担当者が、一人のケアプランに対して相互にかかわり、必要に応じて医療ソーシャルワーカーなども参加することで、多角的・継続的に床ずれの治療を行うことができます。
実際に患者とコンタクトをとる人と、それをバックアップして必要な知識を提供する人、相談する人がNTSのメンバーにいると、床ずれに悩むひとの生活のトータルケアにつながります。
それぞれの持つ力と知識を引き出すためには、日常の床ずれ治療の経過と取り組みを持ち寄って、担当者ごとにカンファレンスをし、全体で共有することで、さらに有効に機能するでしょう。
〇床ずれに耐える体を目指す 栄養摂取の仕方
NTSは、十分に食べられない人の栄養について主に話し合いを行うチーム医療形態です。高齢者や体の一部にマヒがある人、言語障害などが残る人は、ケアすれば食べられる環境を整えられる場合もあります。
食べ物は主に口から体内へ取り込みますが、口腔ケアが不十分だとかむ力や味覚の変化、雑菌の繁殖から歯周病を起こして痛みを生じることも考えられます。
また、薬の副作用で食欲が減退する、腸の具合が悪くなるといったケースも起こります。床ずれを治すためのアプローチは、その職種ごとで違いますので、互いのアプローチに対するメリットやデメリットをチームで理解し、解消していくことで十分な栄養の摂り方を見つけやすくなります。
このように、チームの取り組みでひとつの方向性を導くことができれば、家族や本人も取り組みに対して理解し、協力しやすくなります。
一専門からの見方ではなく、栄養摂取の観点からトータルケアを目指すNTSは、床ずれを早く治す取り組みとして有効に機能するでしょう。