本来、人は生活して行くうえで、起きる、座る,立って歩くなどの動作を普通に行っているだけでたくさんの筋肉を使います。夜寝て、朝起きて、トイレに行って、お風呂に入って、という動作も筋力を維持していくうえで大切なことです。しかし、寝たきりになるとそのような動作ができなくなり,筋力を使うことがないので次第に筋肉が衰えて細くなっていきます。寝たきりになるのは様々な理由がありますが,脳卒中や転倒、認知症、関節疾患などが原因で起きることが多く見られます。今回は、筋力低下による筋萎縮がもたらす様々な要因についてまとめてみました。
■寝たきりは褥瘡ができやすい
背中や臀部(おしり部分)や踵や踝マットの接地面に長時間、体重をかけていると腰痛や褥瘡(床ずれ)の原因にもなります。定時の体位交換やマッサージは、その予防となります。また、福祉用具として借りることができる褥瘡予防のベットマットを使用するのもよいでしょう。
■寝たきりは認知症の原因にもなる
高齢者は、寝たきりになるとこれまで使っていた機能が低下します。例えば、筋力低下や関節の拘縮、骨の萎縮、平衡感覚機能の低下といった身体機能の低下だけでなく、心肺機能の低下、自立神経の低下がおこり排尿、排便機能に影響が出てきます。さらに寝たきり状態だと外からの刺激があまり入らないため精神状態や認知機能まで影響を及ぼす可能性があります。それらのことを生活不活発病(廃用症候群)と言い、特に高齢者に多くみられ寝たきり状態が長ければ長いほど様々な影響が出てきます。その予防として寝たきりになっても早めのリハビリが必要になってきます。
■リハビリで拘縮を防ぐ
寝たきりの方が一人でベッドから起き上がったり歩いたりすることは、非常に困難です。
では、どのようなリハビリを行えばよいのでしょうか。リハビリの目的は、本来その方の機能を回復したり維持したりすることを目的としています。では、どのようなことをするのかというと寝たきりの方は、自分で体を動かすことができないので、そのため体の拘縮がおき拘縮が進行すると関節が固まって、関節を動かすたびに痛みを伴うようになります。拘縮予防のため固まった関節をリハビリ(可動域訓練)やマッサージにより動かす必要があります。
■まとめ
寝たきりになっても早めのリハビリをすることで拘縮を予防したり、褥瘡の予防につながったりします。あきらめずに自分でできる自発的なリハビリを毎日コツコツとすることで改善や維持が望めますので、積極的にベッド上でもリハビリをしたほうが良いでしょう。また、訪問リハビリの利用も考えてみては、いかがでしょうか?