褥瘡で起こる壊死の除去黒色と白色の組織対応

 褥瘡が起こり、ポケットを形成したり深部に広がると、血流障害を起こして脂肪組織や筋肉に損傷を受けます。損傷がある組織は、皮膚の表面に近い部分で壊死が進むと黒や茶色に変化してくるので発見しやすく、対処も早く行えます。
 しかし、褥瘡の深層から損傷が進んだ場合には、肉眼でみるだけでは変化に乏しく、対応が遅れる可能性があるので注意が必要です。

〇褥瘡にある壊死組織の除去

 壊死細胞が褥瘡の創傷部分にあると、周辺細胞にまで壊死が進行し広がっていきます。全身の状態にもよりますが、褥瘡の英組織はできるだけ除去をすることを優先しましょう。
 深層で褥瘡が進んでいる場合、表層部分は陥没し、壊死の黒色でふたをしたように見えるケースが多いです。創傷口の周辺は茶褐色に変色し、腫れや赤みを伴い、疼痛や発熱といった症状も現れます。この場合、褥瘡部で感染や炎症が起こっている可能性が非常に高いです。

●デブリードマンで白色壊死を確認

 褥瘡部の壊死細胞を除去するには、まず全身症状にみるような感染状態を鎮静化させ、デブリードマンを行います。特に、皮下組織よりも深く褥瘡が進行している場合には、壊死組織の除去を優先します。
 壊死組織を切開すると、表面からは確認することができなかった白色の膿や浮腫状の不良組織が現れます。
 血流障害による変性や壊死を起こした細胞は、そのまま放置していても元には戻りません。完全に壊死した状態の組織はすべて取り除き、新しい組織を形成する必要があります。

〇硬化した黒色壊死細胞の除去は

 黒く変色した壊死細胞は、非常に硬く乾燥しています。そのままの状態で除去しようとすると、壊死と健全な細胞の境界に当たる部分の皮膚組織を必要以上に除去してしまうことになります。
 まずは、創部の軟化を行います。ドレッシング剤を用いて硬化した壊死組織を浸軟させ、触診をしてやわらかくなったところでデブリードマンを行います。

●褥瘡部の洗浄と感染予防に注意を

 デブリードマンを実施して壊死細胞を取り除く際に、白色の筋膜や腱が露呈する場合があります。この部分は感染を起こしやすく、また良好に肉芽細胞が増殖する動きを阻害することもあります。
 丁寧に洗浄を繰り返し、感染を起こさないように注意しておかねばなりません。機械的デブリードマンでしっかりと洗浄を行います。順調に良性の肉芽細胞が育てば、露呈した白色の筋膜は次第に覆われていきます。
 鮮やかで潤いのある赤い肉芽細胞がデブリードマンを行った部分を覆うと、周辺皮膚の境界から徐々に皮膚組織を形成します。完治するまで、湿潤コントロールを行いながら、感染予防(洗浄と処置)を徹底しましょう。