床ずれのケアは皮膚科受診から診察と身体機能評価

 床ずれは、慢性化しやすい皮膚疾患です。初めて床ずれを発見した時は、一時的な皮膚トラブルだと認識して経過を見ようとする人も多いですが、殊に床ずれは、表面に見えるトラブルよりも皮下組織の損傷に早く気づいて治療することが大切です。
 わずかな変化に見えることも、異変があれば病院を受診するようにしましょう。

〇床ずれの診断はまず皮膚科で

 発赤や斑赤、滲出液がにじむ皮膚のただれを発見したら、皮膚科を受診します。ごく初期の床ずれであれば、そのまま経過を観察するように指導があるかもしれません。皮膚の状態と発症の具合から、適切な外用薬を処方してもらえるでしょう。
 ただ、床ずれは単に薬を塗布して経過を見れば改善するものでもありません。どのように日々を過ごしているか。その姿勢や体勢が大きく関わります。どんなにいい薬を処方してもらっても、圧迫とずれを解消しなければ床ずれは完治しません。皮膚科を受診した時は、生活環境(寝たきり・車いすの使用など)を説明し、改善に必要な指示を仰ぎ、アドバイスをもらいましょう。

〇床ずれの予防とケアも皮膚科で相談

 皮膚が乾燥した状態では、床ずれを起こすリスクも高まります。潤って弾力がある皮膚は、ずれや圧迫といった外力や、皮膚の刺激に強くなります。良好な皮膚状態をキープするには、十分な栄養と水分、そしてむくみを防ぐ身体ケアが必要です。
 そして何よりまずは、皮膚を清潔に保つことが大切です。洗浄をキチンと行い、皮膚を保湿するクリームやワセリンを塗布して、水分を逃がさないようにスキンケアしましょう。皮膚をこするのではなく、やさしくのせるように保湿剤を塗布します。力を入れて皮膚を引っ張らない点に注意してケアの介助を行いましょう。

〇体ケアには皮膚科以外のアドバイスも

 寝たきりやマヒ、稼働機能に問題がある身体をケアする場合、最も重要なのが栄養管理です。良好な皮膚を維持するには、バランスのいい食事とたんぱく質が不可欠です。食欲と嗜好を知り、その人に合った食事メニューと、食べ物の固さや食事回数にも気を配りましょう。
 自分で食事をとることができても、手に力が入りにくい、十分にそしゃくができないなど、問題が随所に潜んでいます。すると、歯磨きの不足や舌苔のたまりによって虫歯ができやすくなっているかもしれません。歯科で定期的にデンタルケアを行う、手を動かす(残存機能を生かす)リハビリテーション科を利用する、といった包括的ケアが必要です。