人は、長らく生きて生活を営む間に、様々な病気や危険な場面を経験します。
現代では医療が発達し、過去に不治の病といわれていたような病気も、投薬や軽微な手術で完治に至るものが増えてきました。
ただ、生活の中で寝たきりになるリスクは、ひょんなことがきっかけで増幅することもあります。
一度寝たきりになってしまうと、元のように自立した生活を行うまでに辛いリハビリやトレーニングを要することになります。
できるだけ安静の時間を短くし、可動域を残す取り組みが必要でしょう。
〇身体の疾患を治療するための安静を短く
かつては大病だといわれ、宣告されれば即、それは「死」に直結する病といわれたガンも、今では切除術や放射能治療によって(再発のリスクは否めませんが)寛解が見込めるようになりました。
生活習慣病といわれる心筋梗塞や脳卒中といった疾患も、発見と治療が早ければ一命を落とすこともなく、元通りの生活を送ることも夢ではありません。
ただ、発症直後の集中治療や、安静看護が必要な時期を過ぎたら、なるべく早期に離床するためのリハビリを開始する様にしましょう。
〇安静の長さが寝たきりの要因に
歩行に問題がなかった患者が、臓器の疾患治療にあたって入院をし、一週間程度を安静に過ごすと、目視で確認することができるほど、足の筋肉量が落ち、食欲も減退すると言われます。
また、長らくベッドの上で過ごして、手足を曲げたり伸ばしたりする動作を欠くと、関節が動かしづらくなります。
これは、離床時の歩行で痛みを感じたり、転倒したりする原因にもなります。
疾患の治療を行う上で、一定時間は安静にしなければならない時はあるでしょう。
しかし、治療にめどがつき、疾患の予後も良好であれば、少しずつ手や足を動かして筋肉と関節を刺激することが大切です。
〇疾患が原因で身体マヒが生じた場合
完治が可能な外傷や疾患であれば、ゆっくりとリハビリをして全身に刺激を送ることで、寝たきりの状態を脱することができます。
脳梗塞や脳卒中といった、身体機能をつかさどる場所の損傷や、事故等で脊髄を損傷し、体の一部または数か所をつかさどる神経系の障害が生じた場合も、体を動かして刺激を与えることは怠らないようにしましょう。
可動域を残存するためのリハビリと合わせて、損傷した神経やマヒが生じた部位も、動かそうと意識することが大切です。
福祉用具や補助具を活用しながら、可能な限り体を動かすように心がけること。
前向きな気持ちを維持できるように介助を続けましょう。