床ずれの状態を判断するポイント 熱感と感染に注意を

床ずれは、体に現れる疾患のなかでも、内的・外的な因子による変化が起こりやすく、長期化(慢性化)しやすいのが特徴です。
病態を正しく判断し、適切な処置を繰り返すことが、治癒に向けた必要十分な条件となります。
しかし、病態がなかなか好転しない、改善が見られない時もあるでしょう。
治療や処置を行うときには、使用している薬の効果と合わせて、環境を整えること、床ずれを進行させない(新たに発生させない)ための条件を整えることが最重要課題となります。


〇床ずれに現れる病態 熱感
褥瘡の病態を判断する基準に、日本褥瘡学会が提唱するDESIGN‐Rがありますが、これは重症度分類となるそれぞれの病態を数値化することで、深刻な状態か、どのような治療を必要としているかを図る目安となります。

 
●DESIGNツールの評価
褥瘡の病態評価は「大きさ・深さ・滲出液・炎症/感染・壊死組織割合」の5つで構成しています。
これらの状態を数値化して、ステージ4までに分類される床ずれの、どの病態にあるかを判断します。
一般的な指標としては十分に機能し、その後の治療計画を立てるもとになりますが、毎日の経過観察と介助を行う人の視点は非常に大切です。

 
●日々変化する床ずれに起こる変化
床ずれが大きくなった、または深くなったという判断は、数週間または数か月単位で床ずれの状態を比較し、確認することができます。
しかし、毎日の看護や介助の中で、その時々に床ずれが悪化している兆候を感じることができます。

 
●感染や炎症による床ずれの悪化を見逃さない 
創に現れる変化の一つは滲出液の量です。創を快方に向かわせるために必要なのは、表面を湿潤状態に保つこと。
しかし、ひとたび創面の一部が感染したり、浸軟してくると、滲出液の量が過剰になり、においや色にも変化が現れます。
二つ目は熱感です。
炎症がひどくなり、感染が進んでいる床ずれは、皮膚表面の発赤や、触ったときの熱感を伴います。
通常の体温より熱を帯びており、創周辺を触ったときに硬さの変化やハリ、盛り上がりがある場合は、創が回復傾向にあるのか、それとも感染による熱の現れなのかを見極める必要があります。
床ずれは、皮膚の表面が欠損して感染するリスクが非常に高い状態が続きます。
膿が見られる化膿や、熱感がある炎症があると、創面全体または深部に影響を及ぼします。
状態に合わせて、必要な薬剤を追加したり、外科的処置も加えながら床ずれを完治に導きましょう。