病床に伏すと、思うように体を動かすことが出来なくなります。痛みや違和感、点滴など、自由に動きたくなる気持ちがそがれてしまい、マイナスの感情が大きくなっていきます。
特に、恒常的なストレスが掛かるような生活を送っていると、食事の量が減ってきます。また、バランスよく摂取したくても食欲がわかず、栄養が偏ってしまいがちです。
床ずれは、病気を患ったり、マヒなど神経系の障害によって起こりやすくなる二次的病気といえます。また、一度床ずれが発生すると、完治するまでに長い時間が掛かります。
床ずれを作りにくい環境と体の栄養バランスを整えておくだけで、予防として十分に効果が期待できるでしょう。
〇床ずれを防ぐための3大管理
床ずれを予防するためには「体圧」「局所」「食事(栄養)」の管理がとても重要です。どれか一つでも欠けてしまうと、とたんに床ずれの発生リスクが高まります。
●床ずれに必要な食事栄養素は
毎日の食事と含まれる栄養素を把握し、バランスのいい食事をとることは、病気や床ずれを発生している人に限らず、健康な人にも求められます。ただ、床ずれを起こした人は、欠損した皮膚や皮下組織をしっかりと再生するために、たんぱく質を多く取り入れる必要があります。
筋肉や皮膚など、細胞の多くはたんぱく質で形成されます。たんぱく質を十分に補えるように、肉や魚を積極的に摂取することができる食事内容を、管理栄養士と一緒に考えてみるといいでしょう。
〇食事をしっかりと取るためには
床ずれが起こり、重症化してしまえば、皮下組織が壊れて筋肉や腱などを十分に育てることが難しくなってしまいます。
口からの摂取が難しければ、必要に応じてサプリメントなどを利用するといいでしょう。なにより、食事することが楽しいと思える環境を整えることが重要になります。
●床ずれ患者が食事を楽しむ配慮を
摂取できそうな栄養素は、病院食や在宅患者が摂取した食事を記している経過記録に記されます。どのくらいの量を、どれくらいの時間をかけて食べたか。食事内容を見ながら不足しがちな栄養をピックアップせねばなりませんが、大切なのは「摂取できなかった理由」です。
寝たまま1日の大半を過ごす寝たきり患者は、想像を超えて環境・心的なストレスを抱えます。食事をするタイミングをせめて楽しいと感じてもらえるように、気分の切り替えポイントとなるような「見た目」や「嗜好品」を工夫してみましょう。
不足しがちなたんぱく質などの成分は、食事外でとりいれる必要もありますが、できるだけ患者の意向に沿いながら食事を楽しくする工夫が必要になります。
自立した生活に復帰する時間を早めるためにも、健康的な食事と食べやすさなどに配慮するように取り組んでみましょう。