体の一部分を長い時間にわたって圧迫し続けると、褥瘡を起こしやすくなります。局所にかかる圧迫を取り除くことを「除圧」といいますが、この除圧をするために、体位変換が欠かせません。
定期的体位変換をして、一か所に負荷をかけない配慮をすることが、褥瘡を防ぐ必須条件と言えます。
この、体位変換を行うときに必要な観察ポイントと、チェック項目をあげ、もれが無いように確認するといいでしょう。
〇褥瘡リスクが高い骨突出部分の観察
皮下組織と骨が近く、脂肪や筋肉の層が少ない骨突出部分は、他の部位と比べて褥瘡を起こしやすいため、継続的に観察する必要があります。
固い骨と薄い皮膚がこすれるように接触するため、修復が完了する前にずれ力によって褥瘡が進行しやすくなります。褥瘡レベルが進んでいないかどうか、また骨の周辺にずれ力が及んで創傷部分が広がっていないか…骨周辺部分を重点的に観察するようにしましょう。
〇褥瘡を予防するための肌状態観察
介助が必要な入院患者や高齢者は、健常な体の皮膚状態と異なる状況になりやすいものです。マヒなどが原因でおむつを着用すれば、皮膚の汚染や湿潤、寝具や着用着のしめつけ具合など、確認ポイントを項目にして最適な状態かどうかを観察しましょう。
皮膚の摩擦やこすれによって褥瘡を起こさないように、骨が突出した部分に保護フィルムを張って肌を保護するなど、観察をしている中で注意すべき点には、あらかじめ対策をすべきかどうかも、確認項目に加えておきましょう。
〇マットレスと除圧具合の観察項目
体圧分散マットレスを使っている患者は、そのマットレスが適しているか、マットのへたりが起こっていないか、褥瘡が発症(進行)している状態と除圧の具合を観察し、それぞれを項目に落とし込んで都度チェックをするようにしましょう。
〇体位変換の時間を継続的に観察
日本褥瘡学会が示す目安では、体位変換は最長で2時間ごとに行うこと、延長時間は一回につき30分程度とすること、とされています。
時間が経過したら、下になっていた部分の皮膚状態を観察して、皮膚変化が起こっていないかどうかをまずチェックしましょう。これまでに変化がなかった場合でも、体の状態は日々変わります。推進される「二時間ごと」を基準にして、観察ポイントの項目に加えておくべきでしょう。
体位変換は、皮膚の状態、介助の仕方によっては褥瘡を引き起こす原因になる可能性もあります。確認項目をチェックするだけではなく、博愛の心をもって体位変換を行うことが大切です。
患者の褥瘡発症を予防するために、皮膚だけではなく全身の状態も予見し、観察を続けていくようにしましょう。