介護や治療を病院で行っている場合、看護師の看護計画に沿って、全身の健康状態を確認することとなっています。定期的に観察してくれる上に、もし床ずれなどが起こった場合は、発見後すぐに、適切に処置が行われます。
しかし、在宅で看護や介護を行っていると、その患者の身体状態や介護力によって、ケアカバーできる範囲がまちまちです。
○下半身の経過観察と病変兆候
在宅介護の場合、全身観察を漏れなく行うのはとても難しく、ケアマネージャーやヘルパーの力を借りながら、支援員と家族のみなで介護に臨む必要があります。
もし、下肢の皮膚疾患や糖尿病性の下肢病変、潰瘍やつめ変形が現れたら、ケアをする人の自己判断によらず、必ず医師に相談する様にしましょう。
もちろん、その症状が下肢血流不全にのらない可能性もありますが、発見が遅れると疾病の治療に取り掛かるまでに相当の時間をすごすこととなってしまいます。
●仮に下肢血流不全だった場合は
緊急を要する処置が必要になるケースがあります。必ず医師の指示を仰ぎましょう。その上で、どのように治療を進めていくかを患者本人と決定する必要があります。
進行の度合いによっては治療続行が難しいこともあります。黒色壊死細胞や炎症、一部ミイラ化した指や足底がある場合は完全治癒が望めずに、感染症による全身症状がおこる(敗血症など)可能性もあることを本人と家族全員が理解しておきましょう。
もし、条件がそろうのであれば、切断という選択ができるのが理想でしょう。
○下半身の血行促進にストレッチを
入院中でも在宅でも、介護を行ううえで大切なのは、自尊心を自立支援の道を閉ざさないことでしょう。自立した生活を送る上でも、健康な足の可動は必要不可欠です。
足の血行が促進されると、全身の血流も良くなります。特に大腿部付け根部分は、太い血管とリンパがあるので、足の付け根部分を少し動かすだけでも血行促進効果が期待できます。筋肉を刺激して全身の体温を上げ、代謝をよくしつつ、感覚神経も刺激されます。
補助具を用いて自立歩行ができる患者さんは、できるだけ自分で移動をすることができる環境を整えてあげましょう。動くことが何より血流を促進し、自立に向けた次の行動や運動に対して意欲的になれるでしょう。
●ストレッチは必ず補助員と一緒に
体の一部が動かしづらい、麻痺があるなどといった身体状態の患者さんは、必ず付き添いの人がいるところでストレッチを行いましょう。
可動域に限りがある身体は、意志にともなわない動きを引き起こしてしまいます(転倒やずり落ちなど)。すると、本来正常に機能していた箇所や、健常な部位を損傷してしまうことになります。
決して無理をしないように、また励ましながら手を沿え、声かけをしてフォローを行いましょう。