介護福祉士の給料は上がる見込みがあるのか?

介護職の給料の低さは、介護職員にとって離職の理由ともなっており、社会問題となってきています。国をあげて介護保険の改定や介護の質を向上させる取り組みが行われてはいますが、なかなか給料の面では反映されていない現実があります。それは、介護職で唯一国家資格でもある介護福祉士でも同じ状況にあります。今後、介護福祉士の給料が上がる見込みはあるのでしょうか?

・介護福祉士の給料が上がる国の取組み
高齢化がますます進む日本でも国が様々な政策に取り組んでいます。例えば平成24年4月より「介護職員処遇改善加算」という政策によって、介護職員の労働環境を改善するための取組みが行われました。
そして平成27年には介護報酬改定が行われ、職員の資質向上の取り組みや雇用管理の改善、労働環境の改善といった取り組みを行う事業所を対象に1.5万円を支給されるようになりました。
さらに平成29年には改正事項も追加され、支給額から月額1.2万円相当を上乗せ評価されるようになりました。この支給金は全額、介護事業者へ給付されることになっているため、介護福祉士も対象です。以前に比べ、国からの支給金で給料がアップした介護福祉士もいます。
しかし、事業所が介護職員処遇改善加算を取得するためには、算定要件を満たす必要があります。要件を満たしたうえでさらに、事業年ごとに報告書を作成して、都道府県、もしくは市町村に提出しなければいけません。
事業所によっては、要件を満たしていなかったり、手続きを行っていなかったりと、支給を受けていないところもあるため、残念ながら国の取組みによって全ての介護福祉士の給料がアップしたわけではありません。

・個人として給料アップを目指す!
法律の改定により、労働環境の改善が図られてきたものの、介護福祉士一人一人にはそれほど反映されていないのが現実です。しかし、だからといって給料が低いまま働かなければいけないというわけではありません。個人として給料アップを目指す方法はあります。例えば、介護福祉士という資格でとどまらず、認定資格などの上級資格を取得することで、資格手当をつけてもらうことが出来るかもしれません。
その中には、介護福祉士だからこそ受験資格がある介護支援専門員実務研修受講試験もあります。この試験に合格すれば、ケアマネジャーとして働けます。ケアマネジャーとして働くと、介護福祉士よりも給料が高い施設の方が多いので、給料アップを狙えます。
また、給料アップを目指す他の方法として、給料の高い事業所に転職するという方法は最も効果的です。人手不足の介護業界だからこそ、求人数は多くあり、選択肢は広いはずです。仕事内容だけでなく給料面での比較も大事です。
介護職員処遇改善加算の支給要件を満たしているか、また手続きを行っているかを確認することもできます。
事業所によっては、以前の職場より働きやすい環境になったうえに給料もアップしたという介護福祉士も多く、転職することで自分の働きを正しく評価してもらいつつ、長く働ける職場に出会えた人も多いようです。

・まとめ
超高齢化社会になるにも関わらず、介護職員不足も深刻化しているため、介護福祉士の需要はさらに高まっています。
なくてはならない仕事、評価されるべき仕事として、少しずつ介護職の給料は上がっていくと思われますが、現段階では仕事に見合ったほどの給料ではなく、急激にアップすることも期待できないのが現実です。
国の政策として介護職員処遇改善加算によって、介護事業者への給付金がありますが、これも全ての介護福祉士が受け取れているわけではありません。
現段階で給料が上がることを願うなら、スキルアップして上級資格や役職を狙うこと、また今より給料が高い事業所に転職するなど、個人として積極的に行動を起こすことが最も効果的と言えるでしょう。