局所感染がもとで、全身の健康状態が脅かされる危険があるということを知っていますか。例えば虫に刺された箇所をかき壊し、炎症を起こしたのちに化膿して傷が大きくなる…というような軽微な傷がきっかけで、全身の感染に至ることもあります。
〇全身感染の兆候が表れたら
症状や兆候は突如起こります。全身が震えるほどの悪寒、急な発熱、頻脈と呼吸の乱れなど、症状を見たときは、ただ事でなさそうな切迫した状態に感じるでしょう。
このような全身感染の症状に至るまでには、必ずと言っていいほど、局所の感染や感染ルートがあるはずです。
感染菌の特定をとにかく急ぐ必要があります。特定の菌に効果がある特効薬でなければ、一時的な症状緩和しかできませんので、あらゆる抗生物質を投与するのではなく、医師の指示を仰いで、感染原因や感染源となりそうなヒント(日常生活の様子や基礎疾患)をできるだけ多く伝えましょう。
〇基礎疾患がある人の感染 敗血症リスク
恒常的に治療やケアを要する病気を患っている人は、感染しやすい身体状態にあるといえます。
脊髄損傷による四肢麻痺がある人は、本人の感覚がない(または乏しい)ため、傷の確認や損傷に気付かないことがあります。家族の知らないうちに化膿が進行して、発熱や脈拍の乱れが起こることもあるので注意が必要です。
また、透析を行っている人(腎機能の低下)は、膀胱や尿道、尿管に大腸菌ウイルスが感染して尿路感染症を起こしたり、血行障害からおこる褥瘡などの皮膚感染症が起こりやすくなります。
〇透析患者の栄養状態悪化と感染
透析を要する腎機能障害がある患者は、栄養状態が良くないケースが多いです。また老廃物を体外排出する機能が低下するため、免疫機能が低下して、代謝異常を起こしやすいという特徴があります。
栄養をしっかりと摂取して健康な身体状態が保てていれば、多少の感染源にも対抗できるだけの血中成分(白血球・リンパ)がしっかり働いてくれます。ろ過機を透析で行っている腎機能不全は感染リスクが高いといえます。
●透析に使うカテーテルからの感染
透析をしている間、注射針を指してカテーテルを挿入します。これらの医療装具から感染菌が侵入すると、たちまち細菌は全身に廻って敗血症などの重篤な状態になってしまいます。
基礎疾患(特に腎機能)がある患者は、いったん感染すると治療治癒が非常に難しい条件が多いので、常に洗浄除菌やマスク着用など、感染を未然に防ぐための取り組みを欠かさないようにしましょう。