床ずれの好発部 腰回りのずれと褥瘡予防ケア

ずれ力によっておこる褥瘡(床ずれ)は、寝た姿勢に限って発生するわけではありません。仰臥位では、背面全体を圧迫するため、骨が飛び出ている部分のほかにも、臀部や後頭部に至るまで、足先からつま先までの観察と除圧が必要になります。
ただ、車いすに座っている姿勢や、ベッドの上で腰掛けた状態(頭側拳上)など、坐位姿勢の時には、特に腰回りの床ずれ発症に注意が必要です。


〇どうして腰に床ずれが起こるのか
座った姿勢を保持しようとすると、健常な体であれば通常は、骨盤を立てて臀部で体重を支えるような恰好で維持しようとします。
しかし、疾患の治療で入院している、体にマヒがあって上半身を上手く支えられない、加齢による体力低下で自分の体の重みをコントロールできない、という人にとっては、坐位を自分の力で保持することが難しいのです。
ベッドや背もたれにもたれかかり、坐位をとり続けると、臀部が前方向に滑り出やすくなります。すると骨盤が後ろ向きに傾き、坐骨と尾骨で体を支えるような体勢になるので、骨突出部が床ずれを起こしやすいのです。

 
〇腰のずれ力に注意 ギャッジアップ
仰向け寝の姿勢を頭側拳上(ギャッジアップ)にするときは、ずれの起こる方向に注意をする必要があります。
寝た姿勢から、いきなりベッドを持ち上げると、背面に接しているマットレスが折れる腰部分から、頭方向に向かってずれ力が発生します。背中が腰から引っ張られ、痛みを伴うこともあります。
ギャッジアップするときには、必ず左右どちらかで側臥位や判側臥位の姿勢をとって、姿勢をまっすぐに戻すときには、頭側に引きあがっている皮膚を緩める(背ぬき)ようにしましょう。

 
〇皮膚状態の観察と床ずれリスク
加齢の患者は特に、皮膚の潤いとハリがなくなって、しわと乾燥が目立ちます。たるみがでた皮膚は引っ張られると伸びて、欠損しやすくなりますので、実際に圧迫が激しい部位から、ずれた場所で床ずれを起こすこともあります。
坐位の状態でいる患者に対して、腰部分の体圧を逃がそうとしてケアをしていると、背方向に向かってずれ力が起こりやすいため、背中に床ずれが起こることもあります。
高齢者の場合、ちょっとした体の動きや細かなずれが重なって、腰から尾骨にかけて褥瘡が全周性に移動することもあります。
また、各所に発生した褥瘡が深部に至り、治癒までに時間がかかってしまうというリスクがありますので、発生を未然に防ぐための観察と早期のケアがとても重要です。
創が動かないように、創部固定押しながら、ずれ力の方向に注視してケアを続けましょう。