褥瘡患者にマットレスを導入するときのポイントは

寝たままの姿勢が長くなる患者や要介護者は、褥瘡に対する予防とケアが欠かせません。一度発症してしまうと、慢性的な創傷として常に患部のケアが求められます。また、局所で褥瘡が起こると、圧迫をうまく回避するポジションを取りながら、褥瘡の傷を深くしないための配慮が必要になり、更に床ずれ箇所を増やしてしまう原因にもなります。
寝た姿勢の体圧分散には、専用のマットレスが効果的です。必要な機能を備えたマットレスを適時選ぶことが大切です。


○褥瘡リスクとマットレスの選択
褥瘡を予防するためか、または発症した褥瘡の処置と経過維持を兼ねてなのか。まずは目的に応じてマットレスを選んでみましょう。介護を受ける人と行う人、双方が納得のいく福祉用具を選ぶことが基本です。

 
●介護力に応じてマットレスを選ぶ
予防段階や初期症状のときは、日々の体位変換と除圧で褥瘡をおこさないケアは充分に可能です。ただ、介護をするマンパワーに不安があるとき(介護者が少ない、老老介護で体位変換の頻度が少ないなど)は、ワンランク上のマットレスを選んでもいいでしょう。
反対に、支援員やヘルパーの手配や協力が充分に得られて、なおかつ移乗・ポジショニングのスキルが高い介護力の場合は、マットレスをワンランク下げても大丈夫です。

 
●自力変換力の有無を確認して
OHスケールで、自力体位変換能力を確認することができた人には、高度なマットレスは逆効果になることもあります。機能が充分なマットレスのほうが良いのではないかと、大事をとりたくなる気持ちもわかります。
しかし、自力で動く(動こうとする意志がある)人に、厚さのあるマットレスを用いると、
体が沈みこんでしまって自力で動くのがむずかしくなることもあるのです。自分の力で動く時間を作ると、リハビリに対する意識も高まります。動きたい(自分で動ける)意志を妨げないように、本人の使いやすいマットレスを選ぶほうがいいでしょう。

 
○マットレス変更のタイミングと価格
褥瘡予防計画の見直しやリスクアセスメント評価を行ったときに、症状や程度、介護力に沿ったマットレスへ変更をしましょう。
在宅介護の場合は、レンタルを利用してマットレスを導入するケースが多くなります。性能が高くなればその分レンタル(本体購入)価格は高くなります。できるだけ支出は抑えて満足のいくものがいいですね。
マットレスは、厚みに応じて価格も高くなるのが一般的。静止型マットレスにはウレタン素材のものが多く、自己負担額500円/月ほどでレンタルすることができます。
エアータイプになると、価格はワンランク上がり、1000円前後のものが多いです。
褥瘡の程度とリスクはその時々によって変わります。要介護者の身体状態だけではなく、介護力や技術にも左右されますので、包括的にまた客観的に判断して、状況と症状に合うマットレスを選びましょう。