医療の進歩は目覚しく、かつては長期入院と治療が必要だとされていた多くの疾患や疾病にかかる入院期間が、どんどん短縮されている傾向にあります。
これにはもちろん、必要以上に入院治療を継続させない取り組みもありますが、在宅でケアできる幅が広がってきたことも大きな要因でしょう。
入院による経済的な負担を減らしながら、住み慣れた家で治療を続けるほうが、自立した生活を維持しやすくなります。
床ずれも同じく、完治までの期間を、医療施設やサービスを重用しながら負担をできるだけ少なくし、自分らしい生活を維持しながら過ごせるのがベストですね。
○慢性疾患の治療期間を在宅で
急性の疾患や突発的な発症には、医療機関での慎重な処置や治療継続が必要になります。しかし、床ずれなどの慢性疾患は、長期入院を受け入れるほどの病床に余裕が無いというケースも少なくありません。
そこで、治癒までの期間を前向きに、必要に応じて医療機関を利用する方向にシフトする必要があります。
●疾患と床ずれの入院日数
他に大きな身体的不自由や疾患が無く、床ずれの治療を中心にしている場合、発症から治癒までどのくらいの期間がかかるか、そのめどをつけるのは難しいです。
しかし、治療すべき疾患が原因で入院する場合、入院平均期間は一般病院で19日程度、全国の平均在院日数はおよそ34日と短縮傾向にあります。程度にもよりますが、この期間内に床ずれを完全に治してしまうのは、発症初期段階で無い限り無理でしょう。
●床ずれの治療期間をどう過ごすか
一般的な床ずれのゴールは、「治す」ことで、在宅・入院のどちらでもそれは 変わりませんが、その時々によって創の状態が変化する床ずれでは、到達目標の設定が時々で変わってきます。
在宅で過ごす場合は、「悪化を防ぎ床ずれのケアする」ことが重要です。治療継続中の他疾患があれば、床ずれの痛みを軽くしながら、生活の質を落とさずに穏やかに毎日を送るための配慮を心がけましょう。
○チームでかかわる床ずれの治療
在宅治療を行うときは、万が一の場合に備えた医療機関との連携や、地域支援を行う機関、ケアマネージャー、介護施設やヘルパーと家族が相互にかかわることが大切です。
情報を共有しあいながら、同じ視点を持って床ずれと疾患の経過観察・治療・ケアを行っていくことで、自宅にいる安心感や家族と過ごす時間を確保することができます。
予防医学の進歩と平均寿命の伸びを考察すると、今後更に在宅ケアが重要になってくるでしょう。様々な保険やサービス、医療との連携を図って床ずれケアを続けていける環境整備を進めるべく、治療を続けていくことを考えていきましょう。