褥瘡発症リスクの軽減と患者・家族の看護体制づくり

寝たきりの要介護者は、日々の生活環境の中のいたるところに褥瘡発症リスクを抱えています。この褥瘡を予防するためには、介護を担う家族の役割が非常に大きくなってきます。
日常の介護のなかで起こりえるリスクを最小限にとどめ、要介護者と家族がともに、少ない負担で床ずれの予防に取り組むためには、看護体制と介護能力を高めることが大切です。


〇褥瘡ケアプランを明確に
褥瘡の予防、または発症初期に状態を確認し、悪化防止を含めた看護支援計画を立案することが先決です。
そのためには、まず本人の状態や介護能力、本人と介護者の気持ちをしっかり把握しましょう。

●要介護者(患者)の状態の把握
褥瘡発症のリスクはOHスケールを用いてアセスメントし、その他の病気や栄養状態、排泄機能や皮膚汚染リスクなどの現状把握を行います。

●介護力の把握
介護を主に行う人が、日々の生活の中で行うべき褥瘡回避の知識を備えているか、また主介護者がほかの家族や知り合いに協力を仰ぐことが可能かどうかを聞き取ります。
介護を必要としている患者が、すでに床ずれを起こしている場合には、専門的な治療をうけるための医療機関やケアワーカーとの連携が必要となります。
居住環境の中にも、寝たきりを促進させ、また褥瘡の発症リスクを高めてしまう原因が潜んでいるかも知れません。介護者と患者のくらす住環境整備と、過ごしやすい療養環境を備えた住まいを検討することも大切です。

●どこまで支援を受け入れるか 意向確認を
介護を担う家族としては、患者が快適に過ごせるための環境を整えることを優先したいところですが、介護保険を利用しても、ある程度の出費が必要になります。
また、患者の中には自分がすごす環境の変化を好まない人もいます。福祉用具の導入や、訪問看護などのサービスをどこまで利用するか、生活行動や意向を考慮しながら計画立案するようにしましょう。

 
〇福祉サービスや地域のネットワークを活用する
一世帯の中で完全な看護や介護を行うのは、非常に難しいことです。床ずれに対する知識を深めながら、介護者が必要以上の無理を強いられないためのサービス利用を上手に組み合わせて、継続的な看護体制をつくることを念頭におきましょう。

●多分野の情報源や医療機関との連携
寝たきりの患者を看護するには、持続的な観察とケアが前提になります。褥瘡を発症した場合に、相談したり経過や処置をお願いしたりできる医療・介護・福祉分野の相談間口を確保しておきましょう。
あわせて、患者がより快適に過ごせるための各種サービスを使い、生活の質を向上させる取り組みも重要です。
看護や介護を行う家族の支えによって、患者は安静・安全に毎日を送ることができます。介護者の無理をカバーすることができるサービスや、褥瘡発症時に頼れる医療機関との連携を図りながら予防に取り組みましょう。