敗血症からの回復とケア方法は

全身症状を伴う感染症や疑いがある場合を敗血症と言います。敗血症は、早く気付いて早急に治療を開始することで、重篤な状態を免れることができますが、その身体の異常を見逃して重篤化してしまうと死亡するリスクも充分にある恐ろしい感染症です。

褥瘡の看護や介助を行っているシーンでは、死に至るような深刻な病気と向き合う感覚に乏しいかも知れません。もちろん、日々のケアと適切な褥艘への処置、回復への経過観察が行われていれば、敗血症の発症リスクは格段に下がります。

○高齢者は要注意 敗血症発症リスク
内臓系疾患や慢性疾患、がんなど、直接的に深刻な身体状態をケアして治療する場合、感染症の予防にも注意喚起が起こります。外科的な処置や手術を行うような病気では、無菌室に入って、病後ケアを行ったり入院中の院内感染を予防したりという対策が取られます。

しかし、自立した生活が送りづらく、座位や寝たきりで過ごす時間の長い高齢者は、常に外界との接点を持ち、快適な生活を送るためのライフサイクルが精神的肉体的にも刺激となって良いとされています。

その点では、発症した褥瘡部位から、普段の生活でも充分に接触リスクの高い起炎菌との距離が近く、皮膚状態の良くない患部から感染する危険性も高くなると言えるでしょう。

○敗血症の回復段階で注意すること
一度重篤化した敗血症は、さまざまな合併症を引き起こすことが分かっています。全身が感染してしまう事で、感染した臓器への障害が現れやすく、肝臓機能や腎臓機能に影響を及ぼします。

●敗血症と中枢神経障害
敗血症は、一度発症すると中枢神経にまで影響を及ぼすことがあります。適切に輸血を行っても低血圧の状態がつづく「敗血性ショック」が起こった患者には、回復後に脳内の虚血性変化や出血を確認するケースがあり、また意識障害や精神機能障害が起こって混乱状態に陥る「せん妄」との合併発症率も高くなる傾向があります。

このような中枢神経系障害や脳障害が起こると、認知機能が低下したり、筋力低下、心的外傷性ストレス障害などを併発したりすることがあります。
病状の回復が見込めても、これらの精神的・機能的障害が残ることで、社会復帰が難しくなるのではないかと、社会問題として取り上げられることもあります。

集中治療で一命を取り留めて回復を図った後に、これらの症状が現れる可能性があるという事は、今後更に広く浸透させていく必要があるでしょう。

介助や看護にあたる人も、症状や経過観察をするうえで、気にかけておきたい事項の一つと言えます。