交感神経と副交感神経と言う、人間の体の活動をつかさどっている自律神経は、末梢神経系と呼ばれる部類です。自律神経は、内臓や血管の働きをコントロールしながら、体内環境を整えるために働きます。そして、体内全ての内臓や全身の血管、分泌腺を支配しています。自律神経系は、交感神経と副交感神経をスイッチのように切り替えることで、人の体を活動的にしたり、休息モードにしたりを切り替えるスイッチのような役割を担っているのです。交感神経と副交感神経は真逆の働きをし、これが平衡に保たれている状態がベストです。
○交感神経が活発になると
交感神経が緊張状態(優位な状態)になると、心拍数を促進します。血圧が上昇して呼吸が増します。同時に消化器官の作用が抑制されるので、血管が収縮してきます。体内が興奮状態になっている時は交感神経が活発に作用していて、万が一の不測事態に備えた対応が必要な時にも、対応できるような体制づくりをしていると言えます。
●交感神経と血管
手足や足先にまではりめぐる細い末梢血管は、体の表面皮膚から、体内臓器周辺に至るまで、四方八方に伸びています。交感神経が優位な状態の時は、末梢血管の周囲にある筋肉(血管平滑筋)が収縮する為、血管は硬くなります。細くなった血管に心臓の収縮運動が激しくなってポンプの用に押し出される血流が集中するので、血圧が上昇するのです。特に、消化器官の周囲にある臓器や、皮膚に近い所の末梢血管には交感神経密度が高く、興奮状態の影響を受けやすくなります。
○副交感神経が活発になると
副交感神経は、休息する為の機能をもたらす働きをします。末梢血管が緩み、血管周辺の筋肉も緊張から解きほぐれます。心拍数は減少して、血管も弛緩する為、血圧が下がります。休息の時に体は、体力を消化運動に使い始めます。そのため、胃や小腸・大腸に血液が集中し、消化液を増加させて蠕動運動を促します。消化と吸収をする働きが活発になり、口腔内のだ液も薄く大量になるのが特徴です。
○交感神経と副交感神経のスイッチバランス
二つの神経は平衡しています。互いにどちらかが優位の時はもう一方が抑制されてバランスを取ります。しかし、このバランスが狂ってしまうと、体が正常に機能しない状態を招きます。興奮状態の交感神経優位では、各臓器や器官の栄養供給や酸素供給、消化が手薄になり、休息状態が長くなると、活動的に体を動かすことができません。二つの神経をバランスよく保つためには、適時血行を良好に保つことが大切です。日中は交感神経を優位に働かせ、夕方から就寝にかけては副交感神経に充分なはたらきをさせるスイッチの切り替えバランスを保つ意識をして、すがすがしく生活しましょう。