特に高齢者に多くなりがちな「寝たきり」という生活は、身体的な体の変化が原因で始まります。よく、病気や怪我の後遺症などで寝たきりの毎日に転じてしまうと思われがちですが、直接的な原因はほかにもありそうです。
寝たきりになりやすい病気、そしてその行動と生活の仕方から共通点を挙げていきます。知っておけば、寝たきりを回避することができるかもしれません。
○寝たきりを引き起こす病気の種類は
大病を患って、長く闘病を必要とするような病気の場合、安静が何よりの治療方法となります。無理に身体機能を使わず、投薬と手術、経過観察で病気を完全に完治することを優先するのが通例です。
ただ、命にかかわる・ひどい痛みや身体的拘束を必要とするような重度の病気でなくても、インフルエンザや風邪、骨折や捻挫、日々の関節痛や腰痛など身近にある安静から、寝たきりになってしまうこともあります。
○寝たきりになる原因は「きっかけ」とは別
大病を患って長い時間病床に伏せるということは、高齢者に限らず誰にでもおこりえることです。
毎日病院のベッドの上で安静を強いられると、病気そのものの改善には効果を得ることができるかもしれません。しかし、ここで重要なのは、経過観察と離床のタイミングです。
●安静が必要な病気ほど離床が難しい
手術や緊急搬送をされるような疾病の場合、ずっと体を動かさずに、絶えず身体機能の変化や傷口の状態を観察する日が続きます。
もちろん、治療のために様子を確認する間は、体の痛みや疼き、意識レベルの低下など、普段の体とは異なり、充分な安静を要することはあります。ただ、次第に快方に向かい始めると、一度「早く元通りの生活に戻りたい」という欲求が湧きます。これこそが、離床に向けたリハビリの開始時期です。
このタイミングを逃すと、モチベーションの低下や目標を見失ってしまうことにつながります。
●安静から廃用性症候群になる危険
寝たきりの状態が続くと、安静な姿勢で過ごすことに体が慣れてしまいます。日常生活程度の運動がなくなり、心拍の変動や筋肉の緊張、関節の動きがないという日を数日過ごすだけでも、痛みの再発に対する恐れや、めまい・ふらつきを防止したほうが良いという守りの心理が働きます。
はじめは自然発生的に、体を守るための安静をしていたはずが、次第に起き上がる意欲をそがれ、やる気が起きず、自ら離床する目的を失ってしまうという廃用性症候群になってしまうのが、寝たきりになる大きな原因といえます。
○病気の痛みを逃がしながら体を動かすこと
痛みがあると、安静にしたほうがいいと一般的に考えがちですが、必ずしもそうではありありません。
特に関節痛や腰痛は、シップ剤や健康補助食品等を使いながら、無理のない範囲で動くからだの部分を積極的に動かすことが大切です。残存機能が多いほど、寝たきりの予防につながります。
脳卒中や肺炎など、絶対安静が必要な病気もあります。医師の判断を仰ぎながら、決して無理をしない範囲で筋肉を動かしましょう。体全体にしっかりと血液を送り、交感神経を高めてやる気を保ちましょう。