介護とは介護利用者が「自律」すると決めて「自立」する事が大切!

益々高齢化が進む日本で介護分野が抱える問題は、取り組む必要のある大きな課題と言えます。介護の現場において、サービス利用者がどの様な自立支援を受けることが好ましいのでしょうか。今回は、「自律」と「自立」について見ていきます。

無資格・未経験から安心して取得できる初任者研修はコチラ↓
給付金で受講料の最大40%が戻ってくる「初任者研修」

介護における自律と自立の違いは?

一般的には「自律」とは、他からの制約や支配を除いて自身の立てた行動規律に従って、自身を規制しながら行動することです。
一方「自立」は、親や他人に依存せず自身の判断で行動して、経済的な生計を立てることです。しかし、介護現場においてはこの様な一般的な意味ではありません。

介護の目的は「自立支援」です。この目的を解釈するには、介護現場における「自立」とは何かということへの理解が必要です。

例えば、移動するのに車イス介助が必要な高齢者の場合、援助を拒否することが自立であるならば、車イスを押してもらっている状況では自立しているとは言えないです。
では、自身の足で歩けるようになることで自立したと言えるのでしょうか。

自立支援が援助を受けないことであると理解することは、介護現場にはそぐわないと言えます。そこで出てくるのが、もう一方の「自律」です。「自律」とは自らを自らで律することです。

車イスの介助が必要な高齢の方であっても、他の人からの援助を受けることにより、自らの生活を保とうとする意思があるならば「自律」しているのです。
自律して自立することが、介護における本当の「自立支援」と言えます。

リハビリなどの場合、自分自身を律する(セルフコントロール)ことで、リハビリの効果が飛躍的に上がり、心身・機能向上と共に自立への道が開けるようなことが見られます。
しかし、人間は一人で「自律」を続けることが困難です。だからこそ、そこに介護士などの協力や援助または声かけが必要になるのです。

自立と自立支援の解釈の違い

所属する団体の立場やそれぞれの介護の方によっても考え方が異なります。「自立支援」に対する異なる考え方は、大きく分けると三種類に分類出来ます。

1.ADLの自立が重要であるとする考え方

「ADL」とは、日常生活動作(Activities of Daily Living)の略で、食事・排泄・入浴など日常生活で必要になる基本動作を表していて、介護される方の介護レベルを図る指標になっています。

このADLの自立性が向上すると自ずと要介護度も改善しそうですが、要介護度を決定する基準は、必ずしもADLの自立とは直接的に直結しているわけではありません。
このため、ある程度の相関関係はあるものの、ADLの自立が上向いても要介護度は変化しないということがあります。

2.要介護度の改善や維持こそが、介護における自立支援であるという考え方

これは国や自治体、保険者といった介護保険制度を運営する立場を代表しています。この考え方の場合、要介護度の維持と改善をすることに優先度が高くなります。

3.自立支援とは、利用者の選択権を尊重することにあるという考え方

この解釈にはADLの自立が失われても、そのところはヘルパー等による介護を受けることで補完して、その際援助者が利用者の選択権を尊重することにより、自身の意思に従って生活出来るようにすることが自立支援であるというものです。

介護で「自立」は【ADLや人体機能が自立していること】であり、「自律」は【ADLや身体の機能が自立していなくても、選択権が尊重され自身の意思で行動や生活が出来ること】というように解釈されることが多いです。

本来、介護の目標は人により異なるものです。そのため、介護目標も個別に細かく設定されるものです。しかし、目標を決める際の根本的な方針としては考慮する必要があります。

介護において妥当な自立支援の考え方

ADLや身体機能改善を回復する可能性があればそれを目指し、これらが改善していれば次回の要介護認定の更新では、結果的に要介護度も改められるでしょう。

症状や障害の状態などによっては、ADLの自立の向上が不可能、または意味が少ないときは自律的な生活を支援することを目標とする考え方が最も妥当なところでしょう。

まとめ

介護現場においての「自立支援」について見てきました。自立と自律の本質的な違いや、自立支援に対する解釈の違いが、いろいろあることをご理解いただけたのではないでしょうか。

~・~・~神奈川県指定の初任者研修はコチラ↓~・~・~
給付金で受講料の最大40%が戻ってくる「初任者研修」