介護離職を減らすカギは、ケアマネ

近年、社会問題となっているのが「介護離職」の増加です。これは、捉え方によっては個人的な事情とも言えるかもしれませんが、個人だけでなく会社の働き方改革にも大きく影響しています。
そこで、国がケアマネに指導を求めているプログラムについて紹介しましょう。

介護問題の実態

介護問題で仕事を辞めていく人が増えてきており、その多くは介護の必要な家族を抱えて仕事との両立が困難な状況にある中高年世代がほとんどです。
つまり、会社にとっては重要な役割を担っている世代が、介護問題を抱えている世代と言えます。

また、高齢化社会も拍車をかけており、老々介護も深刻な悩みになっています。介護が必要になる年齢は、高齢になるほど要介護度が上がる傾向にありますので、現在は大丈夫だとしても、どこの家庭にも起こり得る問題なのです。

このように家族の中で介護が必要な人がいることで、やむなく仕事を辞めざるを得ない状況になることがあります。他の家族がいない事や、近所に介護サービスが足りていない場合もあります。

また、介護サービスを利用できたとしても、送り迎えに立ち合いが必要な場合には、どうしても仕事を抜け出さなければならなくなります。
このように、仕事と介護の両立が困難になることで、介護離職するしかない状況にあるのです。

介護者の離職後のダメージ

介護離職をした場合には、その人の離職後のダメージは精神的や肉体的、および経済的にも大きな負担がかかる事がわかります。2019年度の調査を参考に紹介しましょう。

【1.精神的な負担】

「負担が増えた」33%「非常に負担が増えた」31%から、64%の人が負担を強いられています。

【2.肉体的な負担】

「負担が増えた」34%「非常に負担が増えた」22%から、56%の人が負担を強いられています。

【3.経済的な負担】

「負担が増えた」39%「非常に負担が増えた」35%から、74%の人が負担を強いられています。

介護職のケアマネに対する国の要請

多くの負担を強いられる介護離職の現状に対して、会社単位でも「テレワーク」などの導入や介護休業や介護休暇、短時間勤務等で対応しているのですが、まわりの環境への理解が不足している為に、休暇などが取りにくくなっている要因もあります。

そこで、国からは企業向けに対して「ケアマネのサポート」を活用する事で、離職を減らしていく必要があると支援を求めています。

厚生労働省は来年度より介護と仕事の両立をサポート

これは企業の介護離職問題に対して、ケアマネージャーの資格を持つ人に対して「介護と仕事の両立をサポート」するプログラムを学ばせる事で、仕事と介護で悩みを抱えている人達のサポートができるようにする計画です。

1.企業向けの両立支援実践マニュアル

具体的取組方法や支援メニューが掲載されています。その中には、ケアマネの相談や活用が掲載されています。

2.労働者向けの両立する為のポイントなどを事例で掲載されています。

日本介護支援専門員協会による認定

介護と仕事の両立に対して一定の研修を受けた人を認定や登録をする事で、離職を防ぎたい企業に紹介する仕組みを作っていきます。
研修カリキュラムの内容や制度を、2020年度内に検討して来年からの指導と養成を行う事を目指しています。

まとめ

介護離職を減らす事は、そう簡単なことではありません。テレワークができても、精神的な負担や肉体的な負担が残ります。
介護職にあるケアマネージャーのサポート制度が実施される事で、介護と仕事の両立を目指す人たちのための支援として期待されています。