褥瘡の健康管理にも大きくかかわるストレス係数とは

 褥瘡の予防と早期回復には、皮膚の圧迫や血流ケアが必須ということはよく知られている事ですが、皮膚を健康な状態に保つための栄養管理も、褥瘡ケアに欠かせません。
 栄養の偏り、また必要成分の不足による低栄養状態は、褥瘡に限らず、免疫力を高めて病気に強い体を作るためにも慎重に管理し、予防しなければなりません。
 そこで、患者ごとに必要なエネルギーをどのようにして管理していくか、その目安を知っておきましょう。

〇栄養介入で用いられる必要栄養素の算出

 十分な栄養が摂取できれば、体内環境や健康維持にとってこの上ない理想の身体をキープすることができるでしょう。加えて、適度な運動を組み入れればベストな状態に近づけられます。
 しかし、不動の時間が長いために褥瘡を起こすリスクが高まる人にとっては、十分な食事の摂取も困難です。そこで、褥瘡治癒の為に必要な栄養素とエネルギー量を知り、効果的な栄養分摂取を心がけましょう。

●褥瘡患者の必要総エネルギーとストレス係数

 褥瘡の患者に必要な総エネルギーの量は、一つの目安として計算で求める事ができます。いくつか算出方法はありますが、中でも「推算式」は、患者の体形と環境で試算する事ができるので、是非一度求めてみてください。
 計算に必要な要素は、基礎エネルギー消費量と活動係数、そしてストレス係数です。この三つを乗じて数値でもって必要なエネルギーを求めます。

●総エネルギー量を求める方法

 総エネルギー量とは、一日に必要な熱量(カロリー)を指します。そして、基礎エネルギー消費量は、何もせず体を動かさなくても生存していることで消費するカロリーです。前述した推算式のほかに、現体重を用いた簡易式による算出法があります。

●エネルギー消費と諸係数

 推算式で使用する、基礎エネルギー消費量の数値は、「Harris-Benedict式」というものを参照します。ただし、この式は欧米の若年成人を基準にして作成しているため、寝たきりの高齢者は過剰投与になるケースがある点に注意が必要です。
 ストレス係数は、各病気ごとに定められており、1.0~2.0の数値で程度を分類します。褥瘡患者の場合では、なし=0、ステージⅠ~Ⅱ度=1.0、Ⅲ度=1.2、Ⅳ度=1.3で表します。しかし褥瘡は、その広さと深さ、感染の程度によって状態や処置の必要割合も異なります。
 活動係数は、寝たきり=0、歩行可能=1.2、労働=1.4~1.8で評価し、体を動かせる程度を数値化しています。
 ただ、あくまでもこれらの基準数値は推測値であり、個々の重症度に沿って適切に評価しなればならないでしょう。ストレス度合や病態によって、必要な栄養素(タンパク質)も変わります。一応の目安としてとらえ、この数値に頼らずに、かつ過剰投与や接種にも注意しながら観察を続けましょう。