褥瘡が起こるリスクは、自立した生活ができない身体状態(マヒや寝たきり)に比例するといえます。同じ姿勢で過ごす時間が長くなれば、圧迫やわずかなずれ力が局所に加わり、褥瘡を発声させやすくなります。
褥瘡だけでなく、体に起こった異変や疾患が完治するまで、入院して経過を細かく看てもらえるのが理想ですが、今の日本の医療現場では、入院治療を行うのはせいぜい数週間程度です。
退院後は、通院を中心にした治療が始まります。主な介助現場が自宅(在宅)に移るとき、その生活で必要な処置や介助について、ケアプランを立案する必要があります。
〇介助の違いや特性をケアプランに反映
入院している間は、主に看護師が定期的に容体を確認し、必要な処置や観察を行ってくれます。しかし退院後は、少なからず家族の支援や協力が必要です。全てを家族の誰かに任せっきりにする介助は長続きしません。家族の犠牲を前提にせず、専門家の知恵を借りながら、必要な処置を欠かさないためのケアプランを練りましょう。
〇褥瘡のケアプランに関わる専門家
医療現場では、創傷部分を観察して処置を行う看護師と、創面や体全体の状態を診察して薬の処方や外科的処置を実施する医師が中心となって、褥瘡患者のケアを行います。
しかし、退院後にケアする場所に、医師や看護師はいません。そこで、褥瘡のケアと在宅の過ごし方について指導する専門家に相談しましょう。
在宅医療を支援するソーシャルワーカーやヘルパー、ケアマネージャーが中心となって、必要な支援やサービスを活用しながら、よりよい介護とケアを実現できる様なプランの策定を目指します。
〇褥瘡の状態とケアプランの変更
治療をしている間に、創傷部で異変や悪化が見られたときは、ケアプランも変更をしなければなりません。経過をみながら、要所で必要なケアを追加していきます。
医療や介護の職種専門家は、それぞれの立場でプランを提案します。ただ実際には、ケアに必要なすべての事柄をもれなく、盛り込むのは難しいでしょう。中でも欠かせないサービスや、医療福祉制度を活用しながら、褥瘡治療と在宅ケアの環境を保持、好転させていくことを念頭に置いて、ケアプランの変更を加えます。
〇ケアプランの実践と定期的な訪問やフォロー
ケアマネージャーやヘルパーの意見は、現実に現場で携わっている専門家の見るポイントとして非常に重要な事柄です。そして、毎日一人一人の身体状態を観察しているのは、家族と一緒に現場に入るサービです。
しかし、日常的なケアや創傷部の観察はできても、医療的処置が必要かどうかの見極めや、行う処置の種類によっては医師や看護師でなければ出来ない事もたくさんあります。
専門家が集う話し合いの場を定期的に設けて、ケアプランに必要な変更や追加、方針や意向を、家族を交えて確認しながらジャッジしていきましょう。