床ずれを解消するために介護場所の環境を整える

一般的に、床ずれが生じる部位は、骨が突出して擦れやずれが生じやすい場所であり、圧迫が恒常的に起こりやすい箇所です。しかし、床ずれが起りやすい場所(好発部位)ばかりを注視していると、想定していない箇所で床ずれを起こす危険もあります。
身体状態や病態、感染など、床ずれがおきる原因は複雑であり、日々その状態は変化しています。体全体の観察をしながら、患者が楽な姿勢をとりつつ、しびれや違和感のある姿勢を避けて快適な状態を目指しましょう。


〇患者の楽な姿勢を知って床ずれを予防する
床ずれを予防するためには、定期的な体位変換が必要です。しかし、介護者本位で除圧を行っていると、患者が楽な姿勢を取ろうとして、姿勢が戻ってしまうことがあります。
体位変換でとった姿勢が、患者にとって安楽な体勢でない場合は、体位だけでなく、介護を行っている場所や環境にも注意を向けることが大事です。

 
●体位変換で生じる違和感が床ずれの元
寝たきりの人は、疾患や外傷によって、体のある部分が動かせない状態で過ごしています。内臓の疾患がなく、外傷の治療で安静にしている人は、それまでに健常な生活を送っているため、身体機能に大きな問題はないでしょう。そのため、違和感のある場所があれば、自分で快適な姿勢へ無理なく移ることができます。
しかし、加齢や内臓疾患がある場合、体全体になんらかの影響を及ぼしている可能性が高いです。神経系や呼吸器に問題がある人は、体位を変えると呼吸が苦しくなったり、マヒがない利き手の自由がなくなることで、左右どちらかに体位が偏ることも考えられます。

 
●マヒ患者の行動で床ずれになることも
片マヒがある患者は、どうしても利き手が自由に使えることを無意識に優先して行動します。マヒがある半身は動かさずに、反対側へムリに回り込むような動きをしたりすることで体位が崩れて、ベッドから落下転倒することもあります。
利き手で体を持ち上げようとしたり、引きずろうとする動きが増えると、好発部位ではない太もも側面や、ふくらはぎ、上腕三頭筋部分といった場所に床ずれが現れます。

 
〇看護場所の環境が原因で床ずれが起こる危険性
右、または左側に体を傾けてテレビを見たり、窓側を向いて過ごす時間が長かったり、ベッドが部屋の奥にあって片側が壁面だったりするだけで、患者が日常を送るための楽な姿勢も変わります。
見舞いの人が、ベッドの片側に立つような配置の場合、見舞いに来た人を向こうとして、体のいろんな場所を軸にして支え、圧迫が強まる恐れがあります。
患者が過ごすベッドの周辺環境にも注意して、患者の身体状態を想定したポジショニングを行い、日々状態を観察しましょう。