作業療法士が生涯学習を続ける目的とは?

作業療法士になるには3年制あるいは4年制の大学・養成校(専門学校)を卒業して国家試験に合格しなければなりません。
作業療法士として就職しても、実はそこからが本当のスタートラインなのです。

○学校で集中的に学ぶ「評価」とは?
作業療法士を養成する大学や養成校のカリキュラムは作業療法士としての基礎を徹底して勉強していきます。
作業療法の対象となる人は何らかの病気や障害をもった方であるため、生理学・解剖学・病理学といった人体に関することや心理学や精神医学といった医療従事者としての基礎知識を身につけておく必要があるのです。

基礎知識を学んだ後は「評価」と呼ばれるリハビリを行うまでの過程を学んでいきます。
具体的には筋力や関節可動域、麻痺の程度などの検査や測定、現在のADL(日常生活活動動作)状況を把握して患者様の問題点(改善しなければならない点)を考えます。
そしてその問題点に対するリハビリプログラムを計画します。ここまでの流れを評価といいます。
この評価が間違ってしまうと、立案したリハビリプログラムを実施しても効果が現れず、意味のないリハビリになってしまいます。
そのため、学生のときに最低限の評価ができるように勉強をしていくのです。学校ではリハビリプログラム、いわゆる「治療」についてはほとんど学ばない場合がほとんどです。
臨床実習において先輩作業療法士が行なっている治療を見学・模倣する程度であり、実習の成績においても治療ができる・できないはあまり加味されません。

○作業療法士が生涯学習を続ける目的
国家試験に合格すれば作業療法士として働くことができますが、当然ながら急に治療ができる様にはなりません。
臨床ではより正確に評価を行うことができ、さまざまな視点から治療を行うことができるスキルが求められます。
そのため、作業療法士は働きながら自分のスキルを高めるために研修会に参加したり、臨床研究を行うといった「生涯学習」を続けていきます。
作業療法士の職能団体である「日本作業療法士協会」では全国各地で研修会を開催しており、スキルアップとして認定制度もあります。

最近では、民間企業が著名な講師を招いて行う研修も人気となっています。また、インターネットの普及により、動画配信にて講義を視聴できるコンテンツも充実してきました。
研修のために遠方へ赴く必要がなく、手軽に生涯学習ができる時代になりつつあります。
このように作業療法士のスキルアップには終わりはなく、大変である一方で、やりがいを感じることができる仕事なのです。