デブリードマンが必要な褥瘡かどうか 炎症の状態から考察

観察をして壊死組織が多い褥瘡は、その壊死細胞を取り除く処置が必要になるケースが多く、溶解、またはデブリードマンのような外科的処置を行います。
ただ、壊死が認められた褥瘡は、なんでもデブリードマンをすれば治るというわけではありません。処置を行う適切なタイミング、そして予後を想定した処置と合わせて、デブリードマンをどのような方法で実施するかがポイントとなります。


〇デブリードマン実施の注意点
デブリードマンは、褥瘡の状態を一掃させるために、高い効果を発揮します。
しかし、全身の状態が安定していないうちに処置を行うと、感染や炎症を誘発するリスクもあります。
局所の感染が全身に悪影響を及ぼす前に、デブリードマンを実施するのが有効です。
反対に、少しでも痛みや腫れなど炎症の兆候が認められれば、その炎症の鎮静を図るほうを優先しましょう。

 
〇デブリードマンの種類
デブリードマンは、壊死や感染した細胞を除去することによって、新しい肉芽細胞を効率よく増生させるための処置です。
予後をよくするために行うということを第一に考え、どの程度の処置が必要なのかを見極めることが大切です。
大別すると、科学的デブリードマンと外科的デブリードマンに分けられます。
・外科的デブリードマン:メス・ハサミ・電気メスなど医療切開具を使用して、褥瘡の処置を行う
・機械的デブリードマン:ウェットトゥドライドレッシング、高圧洗浄や超音波洗浄、水治療法など、医療器械を用いてその特性を生かし、褥瘡の浄化を図る
・科学的デブリードマン:皮膚や細胞のタンパクに働く分解酵素を用いる方法
・自己融解デブリードマン:閉鎖式ドレッシング剤を用いて、褥瘡を覆うように装着して自己融解作用を利用する方法
・生物学的デブリードマン:医療用マゴットと呼ばれる生物を使用する方法

 
〇デブリードマン実施と褥瘡の状態
褥瘡面に壊死細胞があるとき、場合によって黒色硬化して安易に外科的処置が行える状態ではないことがあります。
硬化した壊死細胞の内側が、どんな炎症状態かを把握してから適切に処置を行うべきでしょう。
切開が容易でない場合や、溶解に時間を要す場合は、エコーやMRIなどの画像診断をおこなって判断するといいでしょう。
ただ、褥瘡に膿性物質がある場合、炎症反応が強くなって状態を悪化させるリスクも高まるため、なるべく早い段階で排膿ドレナージを行うことが大切です。
内部への影響や変性がないかを確認するために、視触診をして膿のたまり具合を把握し、炎症反応が早期に鎮静する処置を施すようにしましょう。