床ずれとポケットの種類・症状別の取り扱い方法

床ずれが起こる原因は「圧迫」と「ズレ力」によるものが大半です。じわじわと局所に力が加わることで、一見して大きな傷に見えなくてもその創傷の下で深い床ずれをおこしているケースが間々あります。
好発部位を中心に、経過観察を続けていきましょう。深い床ずれの傷内部では、空洞化または壊死組織が広がりやすいポケットの形成状態を確認しておきましょう。


○ポケットの発生原理は
床ずれによって起こるポケットのタイプは2つに大別することができます。ひとつは初期型(壊死組織融解排出型)ポケット、もうひとつは外力介在型ポケットです。

 
●壊死組織融解排出型ポケットとは
体圧とズレ力が好発部位の表面に加わると、軟部組織には広範囲にわたって血行不全がおこります。血行が悪くなった皮下組織は壊死しやすく、総称部分の断面は砂時計のような形をし、次第に壊死が進みます。壊死融解したあとにできるスペースが壊死組織融解排出型ポケットです。
床ずれ発症からおよそ1ヶ月程度の初期段階から砂時計のような形で壊死が進みやすく、融解後ポケット形成を予防することはできません。
壊死が起こった床ずれの皮膚表面部分は、床ずれの範囲を覆うように発赤または硬結が起こります。

 
●遅延型ポケットとは
床ずれの治療を行っていく間、後発的に現れるのが遅延型ポケットです。床ずれのケア(背あげや体位変換)を行っているときにズレ力がおこることで形成します。
床ずれ周辺の皮膚のよれや引っ張り、圧と骨突出部の関係など、その時々の条件が複合的に交わって形成されるポケットですが、必ず骨突出部分の方向に向かってポケット形成されるという特徴があります。
外力を排除して適した条件を整えることで、予防は可能です。

 
○床ずれのポケット処置方法
壊死細胞をきちんと除去することが何より大切です。壊死細胞が残っている創は治療にかかる時間が長くなります。更に壊死細胞の増殖や化膿の排出後は、一部または全体的にポケット内部に壊死細胞が残存していることもあるので、創面を優しくなでるようにして洗浄しましょう。
ポケットのなかに指が無理なく入るなら、軽く指を入れて洗浄すると良いでしょう。
ピンセットやチューブをポケットに入れて処置をする必要はありません。機械をポケットに入れると健康な肉芽細胞を傷つけてしまう恐れもあるので、壊さないようにやさしく扱いましょう。

 
○ずれ力と体圧排除も忘れずに
背上げや背下げのあとには、必ず圧抜きをしましょう。マットレスと体の間に手を入れるだけで残っているズレ力を排除します。