床ずれと下肢潰瘍の違いを知る かかとに起こる危険と対策

かかとや足指に病変が起こったとき、それが床ずれによるものか、疾患によるものなのかをまずはきちんと判断する必要があります。圧迫が続いたことによる床ずれだと安易に判断してしまうと、症状は好転せずにかえって状態を悪化させてしまうこともあります。
血流状態を測定し、下肢潰瘍や下肢病変がおこっていないかをかかりつけ医に診断してもらいましょう。血流の状態に問題がなければ、通常の床ずれケアを行っていきましょう。


〇床ずれに似たかかとの症状と対策方法
下肢の血流障害が原因となって、床ずれと似たような症状が現れることがあります。例えば、蒼白や発赤、浮腫、黒色壊死、ミイラ化した足指、かかとから足底にかけて起こる潰瘍などです。
いずれも、床ずれが進行していくことで起こり得る状態や症状のように見えますが、端的に床ずれだと判断するのは危険です。

 
●下腿潰瘍と床ずれ改善の条件
床ずれの治療を行う上で、良好な血流の維持は欠かせません。床ずれを治すためには、皮膚や細胞の再形成を行うために必要な栄養や水分を維持することが大切です。
仮に、下肢に起こった病変が下腿血流障害による足部症状の現れであった場合、通常の床ずれケアを行うと逆に状態を悪くしてしまうことがあります。
足病変が始まったことを確認したら、その症状が下肢血流不足によっておこっているかもしれないというリスクを鑑みて、早めに医師へ相談し対策を練りましょう。
血流阻害によっておこる症状は、早いスピードで進行します。また、血流不全は一刻を争う場合もあります。早期に血行の改善ができるのが患者にとって最もいい選択です。

 
●かかと潰瘍治療の考え方
下肢潰瘍が起こった場合、血流の状態が他の部位の潰瘍と比べて受ける影響が非常に大きい点に注意しましょう。
血流不足の病変が現れやすいかかと部分の壊死は、通常の床ずれ治療であれば外科的デブリードマンを施して壊死細胞を除去します。しかし病変の原因が血流阻害によるものであった場合、デブリードメントを施すことでさらに創を悪化させて、壊死も増強します。

 
●床ずれではないかかとの処置対策
かかと部分の血流が戻らない状況なら、完全な治癒見込みも得られません。保存的療法として、創面を乾燥させるかミイラ化することになります。
治療中に患者が痛みを感じたり、滲出液の処置を必要とする状態は、本人と介助人双方にとって大変です。ユーパスタやカデックス軟膏などで乾燥を勧めながら、かかとの保全を行います。