褥瘡の創を経過観察 ポケットの扱いと注意すべきポイント

褥瘡患者の経過観察で、注意しなければならないのは「一定期間で創がどのように変化したか」です。日ごと目に見えて回復するような初期の褥瘡であれば変化を見て取れますが、慢性化した褥瘡は完治するまでに時間がかかるため、日々の変化を確認しづらくなります。
一週間から一か月のスパンで、定期的に創の変化を観察し、その状態が良くなっていくように治療をすすめましょう。


〇慢性創のポケットに変化があるかを確認する
骨が突出した好発部分こそ、褥瘡の進行が早く、完治が難しくなります。褥瘡が起こる原因といわれる「圧迫とずれ」を取り除きながら、創傷部分を保護していく方法を探りましょう。
ポケット形成創は、表面的な観察だけではその状態を正しく判断しづらいもの。見た目だけではなく、深部の変化を状態や症状など多角的に判断することが大切です。

 
〇褥瘡ポケットの状態を判断する要因は
ポケット形成創は、表面の傷が小さくても深部で広く進行する可能性が高いのが特徴です。深部のポケットで起こっている状態を判断するための要因には次のようなものがあります。

 
●創表面の腫れや壊死細胞を確認
褥瘡が起こりやすい骨の突出部から発症した場合でも、ずれ力や圧迫する箇所のケア、楽な姿勢保持のクセなどによって創部分が広がってしまうことがあります。
深部のポケットが釣り鐘上に広がり、中に空間があると感染リスクも高まります。
腫れや創部分の壊死がある場合、ポケットのなかで感染が進行している可能性が高いので、外科的な処置が必要になることを想定し、早い段階でかかりつけ医に診てもらうようにしましょう。

 
●滲出液の量やにおいにも注意を
炎症が起こった褥瘡は、滲出液が多くなり、においもきつくなります。ポケットの中で炎症が進めば、周辺細胞に次々と感染を広めることになりますので、感染創に必要な処置(切開等)を勧められるでしょう。
黒い壊死細胞があれば、すべてを取り除かなければ壊死を広げてしまい、細胞修復が難しくなります。きれいな創面(赤みのある肉芽細胞)が現れるまで、常に感染と炎症に注意して処置を行います。

 
〇ポケット創を広げない体位と姿勢で治療を
ポケットができる一番の原因は「ずれ力」です。ポケット創を作らないのが一番ですが、できてしまった場合は、やはり切開などの外科的処置をしたほうが治りも早くなります。
ただ、治療に向けて処置を行っても、それ以前と変わらない体位変換や姿勢を続けていると、再びポケットを作ってしまうことになります。
ずれが起こりにくい体位と姿勢を検討して、体位変換の方法や補助具、寝具の扱いも改めて見直してみましょう。