精神科作業療法士の給料はどれぐらい?他のOTとは何が違う?

OTとよばれる作業療法士は仕事の幅が広く、一般病床で働く人以外にも介護業界や福祉業界で働く人もいます。そして、医療・介護・福祉の中には精神科で働く「精神科作業療法士
と言われる人達がいます。
他の作業療法士と同様に、OTと呼ばれていますが、業務内容や給料には他のOTと異なる部分もあります。どんな違いがあるのでしょうか?

・精神科作業療法士とは?
一般的に作業療法士は、身体を使う活動、例えば工芸や木工、園芸、などを通して日々の細かな生活動作が出来るよう、また社会復帰できることを目的としてリハビリテーションを行います。
OTは身体的な回復を目標とする一方で、社会復帰できるような精神面での回復も目標としたリハビリも行っています。

精神科作業療法士が行うリハビリも基本的には同様で作業を通した身体療法ですが、リハビリを施す相手が精神疾患によって生活に障がいを抱えた患者さんが対象になるため、身体面より精神面でのリハビリに重点をあて作業療法を施します。

患者さんの中には、精神的な病気以外にも、身体的な病気がきっかけとなって日常生活や活動に対しての意欲や体力を落とすなど、心の状態が身体に影響を及ぼしていることも多くあります。
そのため、精神科作業療法士は様々な作業活動を通して意欲や、やる気を起こすようにリハビリを施し本来の生活を回復させるよう指導・援助を行います。身体的なリハビリを施すOTに比べ、精神科のOTは患者さんの心によりそい、患者さんのペースが基本となります。

リハビリによって目指す社会復帰の中には、対人関係能力の改善や精神機能の改善、向上が含まれているため、まずは1対1で、その後段階を追って集団でのリハビリに移行していくことが多いようです。
グループでのリハビリからも、人間関係やコミュニケーション能力の回復につなげるリハビリを行えます。

・精神科作業療法士の給料はどれぐらい?
上記で取り上げた通り、患者となる対象者が異なるため、仕事内容や進め方が一般病床と精神科のOTとでは少し違いがあります。
では、給料の点ではどうでしょうか?厚生労働省調べの賃金構造基本統計調査によると、作業療法士の平均年収は405万円で平均年齢は31.5歳、勤続年数は5.3年が平均となっています。

それに対し、精神科作業療法士の年収は1年目で350万円~420万円程度と言われており、10年目になると、420万円~480万円程度のようです。OT全体の平均と比較すると、精神科勤務のOTの方が少し高い年収を手にしているようです。

しかし、日本作業療法士協会によると、会員の中で一般病床に勤務するOTが25,000人前後、介護業界では6,500人いるのに対し、精神科病床は5,500人程です。
しかも、一般病床や介護業界に就くOTの数は上昇しているのに対し、精神科病床は2010年より横ばい状態となっています。OTの中では、精神科で活躍するOTは少ないようです。

・まとめ
OTは医療や介護、福祉の分野など幅広く活躍しています。その中には、精神科で働く精神科作業療法士もいます。
患者さんの心の部分を、作業療法を通してリハビリを行うプロです。一般病床に比べ、患者さんのペースに合わせる事が特に重要で、心の状態に応じて個人的な訓練からグループでのリハビリへと段階を踏んでいく必要もあるかもしれません。

OT全体の平均年収に比べ、年収は高いかもしれませんが、まだ数少ないOTしか活躍していない分野でもあります。作業療法を通して身体面だけでなく患者さんの精神面をサポートしたいと願うOTには魅力的な仕事と言えるかもしれません。