寝たままの姿勢で過ごす時間が長い高齢者と、自立した生活を送ることができる高齢者では、生活に適したベッドが異なります。
ベッドを新調するとき、特に福祉の目といたわりの心を持って選び出すと、様々な機能がついたほうが便利だと思われがちです。
しかし、必要以上に機能を備えたベッドでなくても、その人の過ごし方を一番に考えた選び方をすれば充分です。
○ベッド本体を購入する必要性の有無
自立した生活を営んでいる高齢者に向けて、プレゼントや介助補助の目的としてベッドを選ぶときに注意したい点があります。
それは、今の生活のなかで、使用する人自身が不都合に感じていることを聞き、その不便さや不満を解消してあげられるものを選ぶことが大事だということです。
せっかく用意しても機能が多すぎて使わない、使い方が判らない、という理由で使わず仕舞いになることがあります。反対に、機能に頼りすぎて自分で体を動かさなくなるなど、機能の種類が多すぎることで自立の機会を奪ってしまうことになるかも知れません。
●ベッドを導入するかしないかの選択
例えば、ベッドを使っておらず床に布団を敷いて就寝する生活を送ることができている高齢者は、自立レベルが非常に高いと想定していいでしょう。
ただ、万が一、起き上がるときや目覚めたときに、体に痛みを感じたり身体を起こして立ち上がることが辛かったりするなら、ベッドを利用したほうがスムーズに起きだすことができます。
●本体を購入するかマットレスの種類を選ぶか
ベッド本体は、決して気軽に購入できるような価格のものではありません。介護保険制度を利用することができる要介護者がレンタルをしても、月に数千円ほどの出費となります。
ベッドの機能や種類を選ぶ前に、まずはマットレスを導入することを検討してみましょう。
○寝たきりの人に合ったマットレスの種類
寝たきりの生活をしている高齢者は、仰向け寝で過ごす時間が長くなると、後頭部、背中(肩甲骨)や腰(仙骨)部分に痛みを感じ始めます。体の重みで面に掛かる力が背中と腰に集中するのが痛みの原因です。特に腰は、体の中心部分で面への沈み込みが最も大きくなります。
自力で体位変換(寝返り)ができない場合、体の重みによる圧が抜けきれず、骨が突出した部分を中心に圧迫が続きます。褥瘡を起こす原因となるので、寝たきりの高齢者には、ウレタンやエアー(圧切り替え型)などの種類が適しています。
厚みもたっぷりとある10センチ以上のものを選びましょう。
○体位変換が可能な人に合うマットレスの種類
まずは、体の沈みを解消するマットレスを選びましょう。ウレタン素材やゲル素材の耐圧分散型マットレスがいいでしょう。ベッドの上に敷きこんで使用する種類のマットレス(厚さ10センチ未満)のものは取り回しもよく、手入れが楽で清潔に使うことができます。