褥瘡の治療と管理のポイントは

身体に何の障害や病気の発症がない人でも、寝たままの姿勢で長時間過ごしたり、座ったままの姿勢を保持したりしていると、座面やベッドに触れている箇所が圧迫されるような痛みを感じるでしょう。
健康に過ごしている人でも、褥瘡を発症するリスクは十分に有ります。しかし、注意しなければならないのは、圧迫箇所の除圧だけではありません。皮膚の状態をきちんと観察管理しながら、床ずれを起こしやすい環境を排除することが最も重要です。
特に、基礎疾患や寝たきり・座位で過ごす理由(麻痺や切断など)がある人は、その栄養状態と皮膚健康度に注意しましょう。


○褥瘡と弱った皮膚の管理
基礎疾患や継続治療をしている病気を患っている人は、投薬や食事療法、レントゲン撮影、入浴制限などが重なって、皮膚の健康状態が低下している可能性が有ります。
健常な人と比較して、脆弱(ぜいじゃく)な状態の皮膚は刺激を受けやすく、少しの圧迫が原因で褥瘡を起こし、わずかなずれ力で、皮膚表面だけではなく皮下組織も傷つけてしまいます。

 
○疾患から現れる皮膚症状の管理
慢性化した基礎疾患(糖尿病や腎不全・肝臓の病等)が有る場合、その治療のためにいろんな投薬を行います。そして、継続的に経口薬や点滴を摂取することで、体内の血管や皮膚組織に影響を与えることもあります。

●具体的な皮膚管理の注意点
特によく知られているのは、肝臓の治療を行っている人に起こりやすい、低アルブミン血症です。全体的にむくみが出やすくなるため、皮膚がうすく引き延ばされた状態になりやすいことから、わずかな圧迫やずれ力に依って、損傷しやすくなります。
痛みや炎症を緩和するステロイド剤を長期使用していると、血管壁や皮膚をうすくしてしまうという副作用も有ります。そのため、皮膚の剥離や損傷が起こりやすくなります。

 
○高齢者褥瘡と皮膚状態管理
高齢者の皮膚は、全体的に保湿成分が不足し始めることで表面が乾燥し、また弾力が失われた状態になります。
身体全体のしわが目立つようになり、少しの外的刺激で破れるように欠損することがあります。

●保湿管理と褥瘡になる刺激のバランス
高齢者には、血行を促しながら水分を保持するためにもスキンケアマッサージが有効だと言われています。しかし、マッサージを実施するときに起こる刺激も損傷原因となる可能性があることに留意しましょう。
保湿成分を含んだクリームを塗布するときは、皮膚にすり込むのではなく、皮膚表面に優しく置いていく様なイメージで軽く押さえつけてあげましょう。すり込む動きは摩擦を強めて、皮膚を傷つけてしまいます。
寝たきりの原因によって、褥瘡の予防管理をするポイントも異なります。皮膚の特性や現状を確認して、正しく優しく皮膚をいたわって、褥瘡を引き起こさない環境を整えましょう。