寝たきり患者の皮膚トラブルを知って褥瘡を防ごう

寝たきりの状態が長くなると、さまざまなトラブルが起こりやすくなります。もちろん、圧迫が続くことによる褥瘡もそのひとつです。体の安静が必要なときにこそ、周囲の環境を整えて、さらに不快な症状や病気、創傷を起こさないように注意しましょう。
今回は、寝たきりの状態で起こりやすいスキントラブルについてです。


○皮膚の清潔を維持してトラブル解消
人は、活動している間だけでなく、寝ている間も汗をかきます。激しい運動をしている時や、日中の活動、気温上昇で発汗したと気づくことはありますが、寝ている間も体温維持のために人は汗をかきます。
それは何も首や脇など、汗をかきやすいところだけではありません。足先や背中にかけて全身から汗は出ています。

●発汗後の皮膚をきれいにすることが大事
発汗は、体の体温調整に欠かせない大切な機能です。また、からだの皮膚表面を弱酸性に保って細菌繁殖を防ぐという役割もあります。
しかし、汗腺から出た汗をそのままにしておくと、逆にアルカリ性に転じて皮膚の細菌繁殖がしやすい環境に変わってしまいます。そして出た汗をそのままにしておけば、布団の中で湿度が増し、皮膚がふやけた状態になります。この状態で体を擦るように動かせば、ずれ力で肌を傷つけやすく、さらに繁殖した菌に感染して褥瘡ができやすくなります。
汗は放置しないでこまめにやさしく拭きとり、清潔にしてあげること。そして、発汗熱を布団の中にとどまらせておかずに、定期的に布団を上げて湿気を逃がすことが大切です。

 
○寝たきりで皮膚トラブルが起こりやすい場所は
寝たきりの高齢者にとって、皮膚の清潔を維持し続けるのは非常に大切ですが、同時にケアがとても大変な事柄でもあります。そこで、要所ポイントを絞って、こまめなケアが必要な部分を中心にした皮膚環境維持を行いましょう。

●乾燥から起こる皮膚トラブルもある
寝たきりの高齢者で注意するべき皮膚トラブルに、老人性乾皮症があります。皮膚の潤い成分が減少して、必要以上に皮膚から水分が失われることで、かゆみやかさつき、湿疹の原因となります。粉が吹いたように白っぽくなった箇所や、頻繁にかゆがる箇所には保湿クリームを使って乾燥肌トラブルを解消するようにしましょう。

●オムツ使用の寝たきり患者への注意ポイント
近年は機能性に優れたオムツが増えて、湿気を閉じ込めない快適な使用感を保つことができるものも多くなりました。ただ、湿気を逃がすタイプの場合、布団の中の湿度が上がってしまうことが考えられるので、こまめに新鮮な空気を布団の中に入れるようにして湿気を逃がしましょう。
排泄物を放置すると、それが刺激になって皮膚トラブルを起こします。湿疹などが現れるとその箇所から細菌感染して皮膚損傷が大きくなりやすいため、臀部や足の付け根、仙骨部分やしわ部分を特に念入りにケアします。
付着物はこすったりせずに、温水で流した跡でやさしくふき取り、保湿クリームを塗布して皮膚のバリア機能を高めるとトラブルが少なくなるでしょう。